自分は今、気が立っていると思った恭弥は、いったんはスルーしようとした。
しかし、返事しないとがっかりするだろうと思い直し、電話をかけた。
塾の帰りだという美紅は、恭弥からの「今から会うか?」に大喜び。
マンション前のベンチで待ち合わせた。
やってきた美紅に、「カフェでもいくか?」と恭弥から切り出した。
でも美紅は、何か用があるのか、帰らなきゃ、と。
恭弥が美紅のカバンを持ってやると、何が入っているのか、やたら重かった。
歩きながら、眠そうに欠伸する美紅。
「最近は2〜3時間しか寝てなくて」
年末にあるフランス語の資格試験のため、フランス語の勉強で忙しいそうだ。
フランスの国立大に留学するための資格らしい。
すると恭弥は、フランス語で語りかけた。
それに対し、見事なフランス語を披露する美紅。
あまりにもすごい上達っぷりに、恭弥も目を丸くする。
勉強が楽しい、という美紅に、まったく共感できない恭弥は青筋を立てるばかり。
「来年からキョウ君とフランスで過ごせると思うと、がんばれるの」
そういやそんな約束したな、みたいな感じで、恭弥は言葉を詰まらせた。
「がんばれよ」
すると美紅は、さりげなく恭弥の手をとって歩き出した。
翌日になり、仁道病院で診察してもらう恭弥。
担当してくれたのは氷室ではなく、研修医だった。
とりあえずなんともないとのことで、父の病室へ。
母もいたが、恭弥が父と話すってことで、シャワーを浴びに出ていった。
2人きりになると、父がこう切り出してきた。
「父さんがお前をどうみてるか、不安なんだな?」
恭弥は苦笑いし、「まあ」とポツリ。
「お前が正しいと思ったことをやりなさい」
父いわく、見舞いに来てくれた人たちを見れば、恭弥がしてきたことがなんとなくわかる、とのこと。
「なぜ父さんが狙われたのかは、聞かないでおく。でも1つ約束してくれ。母さんだけは、巻き込まないと」

コメント