第151話

自分は今、気が立っていると思った恭弥は、いったんはスルーしようとした。

しかし、返事しないとがっかりするだろうと思い直し、電話をかけた。

塾の帰りだという美紅は、恭弥からの「今から会うか?」に大喜び。

マンション前のベンチで待ち合わせた。

やってきた美紅に、「カフェでもいくか?」と恭弥から切り出した。

でも美紅は、何か用があるのか、帰らなきゃ、と。

恭弥が美紅のカバンを持ってやると、何が入っているのか、やたら重かった。

歩きながら、眠そうに欠伸する美紅。

「最近は2〜3時間しか寝てなくて」

年末にあるフランス語の資格試験のため、フランス語の勉強で忙しいそうだ。

フランスの国立大に留学するための資格らしい。

すると恭弥は、フランス語で語りかけた。

それに対し、見事なフランス語を披露する美紅。

あまりにもすごい上達っぷりに、恭弥も目を丸くする。

勉強が楽しい、という美紅に、まったく共感できない恭弥は青筋を立てるばかり。

「来年からキョウ君とフランスで過ごせると思うと、がんばれるの」

そういやそんな約束したな、みたいな感じで、恭弥は言葉を詰まらせた。

「がんばれよ」

すると美紅は、さりげなく恭弥の手をとって歩き出した。

翌日になり、仁道病院で診察してもらう恭弥。

担当してくれたのは氷室ではなく、研修医だった。

とりあえずなんともないとのことで、父の病室へ。

母もいたが、恭弥が父と話すってことで、シャワーを浴びに出ていった。

2人きりになると、父がこう切り出してきた。

「父さんがお前をどうみてるか、不安なんだな?」

恭弥は苦笑いし、「まあ」とポツリ。

「お前が正しいと思ったことをやりなさい」

父いわく、見舞いに来てくれた人たちを見れば、恭弥がしてきたことがなんとなくわかる、とのこと。

「なぜ父さんが狙われたのかは、聞かないでおく。でも1つ約束してくれ。母さんだけは、巻き込まないと」

コメント

error: Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました