第150話

タバコをふかしながら、黒田は話し始めた。

敵の歯形やDNA鑑定などから情報を集めた結果、中国で二次訓練を受けた北朝鮮の特殊部隊だということがわかった、とのこと。

ゴルフ場の件も、恭弥の父が襲撃された件も、だ。

ゴルフ場の件に関しては、ラノック側から流出したと推測されるらしい。

敵(中国の勢力)は恭弥について、フランスと日本で作り上げた諜報員だと考えている。

だからこそ、ラノックとともに、恭弥のことも狙ったのだ、と。

そして黒田は、敵の黒幕として、2人の名前を上げた。

「連中を入国させるのに糸を引いた人物は、周防裕三と佐古田匠だと踏んでいます」

佐古田は防衛大臣財務官、周防は清水グループ会長だ。

清水グループと聞いて、恭弥は眉をしかめる。

ゴント車を巡って西モータースと競り合い、敗れて大損害を被った会社だ。

「つまり、父さんを狙ったのは?」

「西さんへの警告と、西モータースへの復讐でしょう」

ダエルが運転する車の中、怒りのおさまらない恭弥は、睨みつけるような目で前を見据えていた。

「なんて目をしてるんすか? 今にも誰かを殺しそうな雰囲気っすよ」

「周防ってヤツを思うと、胸糞悪くてしょうがねえんだよ」

なんとか宥めようとするダエルだが、恭弥の剣幕に押されてしまう。

ゴント車の件では、清水グループが横入りしてきたのだから、いわゆる逆恨みである。

それに、会社が損害を被ったからって、人を殺していいはずがねえ、と。

「ユニコーンが首尾よく進めば、誰より得するのは国内の財閥のはず。なのになんで邪魔する?」

「オレらの知らない何かがあるんすよ、きっと」
角田(おそらく周防の部下)という男と会話しながら、食事を楽しむ周防。

「(西を)どう始末するつもりかね?」

周防からの問いかけに、角田は言葉を返す。

「内閣情報調査室を手中にするまで、慎重に進めるべきかと」

角田はすでに、西の身辺調査は済ませていた。

しかし、なぜか数ヶ月前とは情報に食い違いが生じていて、掴みきれていない様子だ。

周防は、フォークを角田に向けながら言う。

「この国が豊かになれたのは、誰のおかげだと思ってる?」

「もちろん、周防様のおかげです」

すると周防は、角田に対してちょっとした忠告をした後、険悪な表情を見せながら声を荒げた。

「さっさとあの小僧の親を始末してこい」

そしてすぐに、やんわりした表情に戻って、言葉を続ける。

「君に投資しているのは、君を信頼しているからだ。この意味はわかるね?」

「はい」と、角田は答えた。

帰宅した恭弥は、着替えを済ませ、ダエルと会話していた。

両親は病院にいるため、家には今、恭弥とダエルしかいない。

「一人で周防んとこ乗り込んだりしませんよね?」

「しねえって」

ダエルは引かず、恭弥に誓わせてから帰っていった。

一人になった恭弥は、ふと鏡の中の自分を見た。

車の中でダエルから指摘されたように、凶悪な目つきをしてるではないか。

少し休もうと考え、自室のベットで横になった。

と、スマホがなり、美紅からの連絡が届いていた。

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