第139話

車の中で、スマホで連絡を取る恭弥。

相手は、父の護衛人だ。

「父さんには言わなくていい。様子を見に行くだけだ」

具体的な目的地も聞いて、状況も把握した。

父は今、会社の人たちと食事中らしい。

ダエルはその店を知っているらしく、急いで向かう。

店に到着すると、護衛人の一人が近づいてきた。

恭弥は窓を開けて、状況を尋ねる。

護衛は3人、とくに変わったこともなく、食事中のメンバーも身元は取れている、とのこと。

「食事はしたのか?」

「はい、簡単に」

「オレらも来たし、ちゃんと食ってこい」

恭弥の父が、店を出てきた。

車から見ている恭弥とダエルは、とりあえず安心する。

「今回はリーダーの直感が外れたみたいっすね」

「だな」

「でもちょっと、残念でもあるっす。今まで一度も外してなかったのに、記録が台無しっていうか」

「記録なんかのために、事件が起こったほうがよかったってのか?」

「そんなんじゃないっすけど」

気楽な会話をしていると、恭弥は斜め後ろの車に違和感が起こったことに気づく。

コンビニに停まっている黒いワゴン車だ。

ずっとそこにあり、乗り降りもなかったのに、いきなりライトがついたのだ。

父が出てきてまもなくの出来事だけに、怪しさしかない。

「臭うっすね、見てきましょうか?」とダエル。

「オレが行く」

恭弥は車を出て、さりげなく歩き出した。

フードを被り、黒いワゴン車を横切って、コンビニへ。

黒いワゴン車はスモークガラスのため、中は把握できない。

何かを隠している雰囲気がある。

店の中で、缶コーヒーを2つ手に取り、会計に並んだ。

スマホがなり、出ると、ダエルから緊急の声が。

「戻ってください。親父さんの車が出たっす」

缶コーヒーをレジに置いて店を出ると、黒いワゴン車もちょうど出発するところだった。

何かある、と直感し、急いで車に戻った。

助手席に飛び込み、ダエルから状況を聞く。

「親父さんの車が出てすぐ、UBコップの車が続いたんすけど」

「あのワゴンもついてったんだな」

ダエルが車を出すと、ちょうど一般人の車が前にきて、お互いに停まった。

「どいてくれ」とダエルが叫ぶ間にも、恭弥はスマホで連絡を入れる。

「父さんはどこに向かってる?」

「東京に向かってますので、ご自宅かと。あと10分ほどで高速に入ります」

「怪しいワゴンに追われてる。父さんの車に近づけるな」

再びダエルがアクセルを踏み、発進した。

恭弥は表情を引き締め、心の中で叫んだ。

オレが行くまで、無事でいてくれ!

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