暗い森の中、多数の敵が刀を手に迫り来る。
吊り下がったダエルは、恭弥が引かないのを見て「くっ」と唸った。
互いにザッザッと足音を鳴らし、距離を詰める。
はじめはゆっくり歩いていたが、やがてお互いに駆け足になって接近していく。
鋭い眼光で睨み付ける恭弥は、京極から借りたナイフを逆手に握っている。
相手の先陣を切る男が刀を振り下ろし、それを左にかわす恭弥。
そのまま逆手のナイフで、うなじ、背中、太腿に、ドスドスドス!
次なる男は、刀を水平になぎ払ってきた。
さっと頭を低くして避けた恭弥は、低い姿勢を利用して相手の右アキレス腱をザシュッ!
悲鳴を上げる男に向かって、「うるせえよ、おとなしく逝け」と、うなじにドスッ。
その隙に左から襲ってきた相手の武器は、刃渡りの長い包丁。
右の頬をかすめ、血が出たが、すぐに反撃する。
左手で相手の右手首を押さえ、右手はアッパーカットのように下から相手の顔をスパッ!
さらに上から下に、左肩をドスッ!
次なる相手の攻撃は、たったいま倒した相手を盾にして防いだ。
そのまましばらく、包丁を武器にしていた男を盾にして複数の攻撃から身を守る。
盾になった男は、背中をババババッと斬られ続けている。
恭弥はこんな思いを抱いていた。
転生してから、なるべく人は殺さないように心がけてきた。
だが!
今はまるで、傭兵時代のようだ。
目を光らせた恭弥は、ナイフを逆手から順手に持ち直し、前からくる相手の胸にドスッ!
後ろからうなじを狙ってきた攻撃に気づき、避けたが、右肩に傷を負ってしまった。
包丁を突き刺そうと突っ込んできた男は、中国語で叫んでいた。
蹴りでその男を吹っ飛ばしたが、恭弥の周りは敵だらけ。
それでも、刀を振り下ろしてきた相手の首をズバッと仕留めた。
さっきの肩の傷も、幸い筋肉の損傷には至っていない。
それにしても、と思う恭弥。
中国の連中までいるとは、随分と手の込んだことをするぜ、シャフラン。
サッサッサッと鋭い攻撃を避け続け、顔を狙ってきたバットを背面反りの格好でかわす。
刀による突きの応酬も、身を低くして避け、そのまま距離をとった。
無数の相手と対峙して、相手の人数の多さと武器の刀を確認する。
このままじゃ、こっちの身がもたねえ、考えろ、と自分に言い聞かせた。
瞬時に判断を切り替え、相手に背を向けてダッシュ。
逃げの手を打ち、ジャングルみたいな森の中へ。
あっという間に連中から距離をとって、暗い木々の中に紛れ込んだ。
恭弥を見失った男たちを見下ろし、ダエルは思う。
バカな奴らだ。
森の中は、ゴッド オブ ブラックフィールドの独壇場なんだよ!
その思いの通り、恭弥はまず1人目の背中に迫っていた。
丈夫な紐のような武器『鋼糸』を両手に持ち、後ろから相手の首にかけ、そのまま崖を滑り降りる。
音を聞いて駆けつけてきた男には、背中から「おい」と声をかけた。
相手は水平に刀を払ってきたが、立ったままの恭弥に届かず。
恭弥の背中にある木が、刀を止めたのだ。
「こんな森の中じゃ、そんな長い刀は使い物にならねえぜ」
そういうと、ナイフで相手の前からドスッ!
さらに3人が寄ってきたが、すぐに身を隠して状況を見守る。
体力を温存しながら相手の数を減らそうと考えていると、敵のボスが人質からやるように指示を出した。
動かざるを得なくなった恭弥は、たった今仕留めたばかりの男が木に打ち付けた刀を取り、人質に向かう3人の背後から襲いかかった。
1人目の背中ら、首の辺りを狙って刀をスパッ。
勢いのまま、残り2人の前に転がり出て、低い姿勢から刀を水平になぎ払う。
しかし、2人目が両手に持つ武器に受け止められ、その間にもう1人が刀を振り下ろしてきた。
さっと尻餅をつく要領で避けたが、左膝を斬り付けられてしまった。
さらにその直後、金属バットで頭部をドゴッとやられてしまう。
うつ伏せになって倒れた恭弥に、敵がわらわらと寄ってくる。
「やっちまってもいいっすか?」という部下に、
「ひとまず殺さない程度に痛めつけろ」と指示するボス。
ボスがたばこを吸ってそっぽを向く間に、恭弥はバット男の足を、靴ごとナイフで刺していた。
起き上がる恭弥を見て、ありえねえ、頭をバットで殴ったんだぞ、と思うボス。
理由はわからないが、1つ確かなこと。
それは、この体に極限まで苦痛を与えると、前の体の感覚が蘇るということ。
ナイフを手に取った恭弥は、再び戦闘モードに入って身構えた。
「勝負は、ここからだ」と言いながら。
それを見て、ダエルはニッと口元を緩めるのだった。
引用:ピッコマ

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