第19話

何やら思い詰めた表情の父に、「散歩に出ませんか」と誘う恭弥。

父は断ろうとするが、考え直して恭弥の誘いに乗る。

父が何かに困っていると感じている恭弥は、「何かあったんですか?」と単刀直入に聞いた。

「何が?」と聞き返してきた父に、「何もないなら、これ以上聞きません」と返す。

前に車で話した時は父が同じセリフを言っただけに、父は恭弥の肩に手を回し、正直に打ち明ける気になった。

ベンチに移動した2人。

父は、フランスから車を輸入して販売する予定だった、と話し始めた。

まずは展示車と試乗を50台仕入れて、注文を受けてから本社に発注すればリスクが少ない、とみたそうだ。

ところが、清水グループが清水モータースを立ち上げ、父が輸入する予定の車を先に輸入すると相手側に申し出た。

それを聞いた恭弥は、父さんが開拓した市場を横取りしようってわけか、と心で思った。

すぐに恭弥は、自分が自然に「父さん」と思ったことにハッとする。

父は話を続けた。

フランス側からの連絡では、500台を一括購入するなら独占権を与える、との話だった。

表面上は優先交渉権を持つ父を優遇した形に見えるが、実際は無理だとわかった上での条件だった。

父が諦めれば、大企業の清水グループと手が組める、と見ているのだ。

恭弥がどんな車なのかと聞くと、1台何千万もする高級セダン「シープ」だという。

父が言うには、契約金として支払った50台分のお金を放棄するか、残金を払って車を販売するか、どっちにしても損害は同じくらいになる。

家を担保に借りたお金を投資しただけに、失敗したら家計が苦しくなってしまう。

思い悩む父は、「すまない」と頭を抱えて謝るのだった。

恭弥は、自分はいいから母さんを気遣うように、と胸の内を伝えた。

そのことは父もわかっていて、顔に出さないようにしているが、と言ってきた。

でも恭弥から見れば、父の顔には出てしまっているのだった。

父は、フランスの役員訪問の予定が早まり、明日日本に来ると言う。

会うのは明後日、日曜日の昼だそうだ。

恭弥はすぐに、自分も同行すると申し出た。

断ろうとする父に、フランス語もできるし、通訳の役に立てる、と付け加えた。

「やれることはやってみないと! 諦めるのは力合わせて頑張ってみてもダメだったときです」

恭弥の言葉を聞いた父は、恭弥も連れて行くことに同意するのだった。
帰宅した恭弥。

父はもう少し歩きたいようで、1人で帰ってきた。

テレビを見ていた母にそう伝え、部屋に戻ると、ミシェルから連絡が入った。

土曜は無理になったからと、予定を月曜に延期するよう頼む。

風呂上りのミシェルは、仕方なくOKしてくれた。

元の体だったときの口座をパソコンで調べようとしたが、暗証番号などうろ覚えでどうにもならない。

1500万ほどの蓄えがあるが、それは当てにできそうにない。

ダエルに連絡して相談すると、「ノーケイじゃないすか」と言ってきた。

恭弥にとって母が一番心配だってことを、ダエルも理解していた。

車で交渉の場にやってきた恭弥と父。

父は恭弥を、通訳補助のために連れてきた息子だと正直に紹介する、と言う。

そして一言、「ありがとう」と。

その言葉を聞いた恭弥は、悪戯好きの神に祈って、両親を助けるよう心で願うのだった。

建物の中に入り、相手と対面した恭弥は、全身に戦慄が走る。

現れたのは、戦場で作戦の指揮をとっていた、シャフラン(韓国ではなく日本だと、本来は シャルラン と表記するのでしょう)という男だった。

引用:ピッコマ

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