第121話

今回の事件を通して、政府とユニコーン事業との結託が決まったと、黒川は笑顔を浮かべて喜んでいた。

その態度が、恭弥には腑に落ちなかった。

「黒川さんは、総理がゴルフ場にくることをご存知でしたか?」

答えに困る黒川を見て、「知っていたんですね」と疑いを強める。

「口外するのは規則違反だったんです」

と言い訳されても、恭弥には知ったことではない。

「前に言いましたよね? 俺が知ることは、須賀先生も知ることになると。須賀先生が俺の仲間だからです。仲間に隠しごとはいけないと思っています」

黒川は、自分にも立場がある、とまた言い訳した。

「規則を守る義務があるんです」と。

恭弥はその言葉に反論する。

「理解しています。でも情報共有がないのは納得できません。大切な仲間を失うかもしれないので」

表情を厳しくする恭弥を見て、黒川は「わかりました。気をつけましょう」と口にした。

恭弥は、胸中で思っていた。

あんたは何もわかっちゃいない、と。

話がひと段落したと見たのか、黒川はラノック大使と次に会う予定を尋ねてきた。

「来週には一緒に食事をする予定です」

「では、日時が決まったら連絡しててください」

「なぜです?」と、恭弥はまた表情を厳しくした。

「警護のためです」と、黒川はやや焦り気味に答えた。

「警護はこっちでします。それとも、一挙手一投足を報告しろと?」

またしても言い訳する黒川に、恭弥は拳を強く握りしめて言い放つ。

「情報共有もされないことに巻き込まれるのはごめんです。そのせいで大切な仲間を失ったら、国家はオレを敵に回すことになりますよ」

黒川は冷や汗を流しながら、それでも言い訳し続けた。

総理はただ、通りすがりに立ち寄られたんです、と。

それを鵜呑みにせず、恭弥は聞き返す。

「オレたちが大使の警護について作戦を立てているとき、黒川さんは総理の安全を考えなかったんですか?」

黙り込む黒川に、恭弥はさらに詰め寄る。

「情報がどこかに漏れてたら、あなたはチームを信じられるんですか?」

「国家のためなのです」と黒川は言い返してきた。

その言葉を受け、恭弥は思った。

この人とはここまでだ、と。

上着から財布を取り出すようダエルに頼み、中からカードを取り出しベッドに置いた。

黒川からもらった、内閣情報調査室の社員証だ。

「ユニコーンについて協力できることは協力します。しかし、強要は受け付けません」

すると、ダエルもまた財布を取り出し、カードを抜いてベッドに置いた。

黒川からもらった給料も返金する、と言葉を添えて。

「隠し事されてるなら、もうチームではないっす」

すると京極が、間に入って話し始めた。

「2人の言い分はわかった。とりあえず社員証は持っておいてくれ」

黒川に対しても、「お前も西君を監視するようなことはするな」と。

「監視だなんて」と黒川は否定するが、京極はその言葉を遮って話を続けた。

「最初は助力を願ったくせに、今は警護対象者といって彼を縛りつけてる。それはどうかと思うぞ」

京極の説得を受けて、恭弥はすこし迷いながらも、結局は社員証を手に取った。

和解の印にと、お酒ではなくコーヒーで乾杯した。

京極と黒川が去ってから、恭弥とダエルが話し始めた。

「ちょっと言いすぎたんじゃないすか」

「作戦が漏れるのを放っておけないだろ。オレらが頭をぶち抜かれたのも、同じような状況だったじゃねえか」

シャフランに裏切られた、アフリカでの戦闘の話だ。

ダエルが、今晩は泊まっていくと言い出し、夜中に2人でニュースを見た。

ゴルフ場で、総理が暗殺未遂事件に巻き込まれたと、そのニュースでは報道していた。

「オレ、もうニュースなんて信じないっす」

ダエルの言葉に、恭弥も賛同した。

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