朝。
ダエルが食事を買ってきてくれて、2人は一緒に食べ始めた。
食べながら、恭弥はダエルに礼服を買ってきてくれと頼む。
葬式に出るためだ。
それならと、ダエルも一緒に行くと口にした。
礼服を着た恭弥とダエルは、車で移動する。
今回の戦いで犠牲になった者は、16人。
「傭兵時代にも、一度にこれだけ死ぬことはなかったっすよね」
「オレたちのせいだ」と恭弥は責任を感じていた。
備えが足りなかったことを、悔やむ。
「確かに」とダエルも同意した。
合同葬が行われる場所に着くと、報道陣に詰め寄られる京極たち(UBコップの面々)の姿があった。
マイクやカメラを突きつけられながらも、京極はただ「今は答えられません」と返すのみ。
そんな姿を遠目に見ながら、恭弥もダエルもどうすることもできない。
「こんなときは、見て見ぬフリするもんす」
ダエルの言葉を受け、恭弥は悲痛な表情を浮かべながらも移動した。
待合室には、礼服に身を包んだ遺族たちが待機していた。
ぼんやり宙を見上げる犠牲者の妻と、その子供もいる。
恭弥とダエルは、16人の遺影を前に、黙祷した。
すまない
恭弥は心の中で、そうつぶやいた。
その場から移動すると、UBコップの岩田が声をかけてきた。
「お願いがあります」と岩田は言う。
今回のような状況に備えて、UBコップは特殊戦闘班を組む予定とのこと。
岩田は目に涙を浮かべながら頼んできた。
「もしまた奴らと戦うときがきたら、私も連れてってください」
「その話は葬儀のあとにしましょう」
恭弥がそう言うと、岩田は身体中を震わせながら悔しさを口にした。
「クソ野郎ども、この手で必ず仇を…」
車の中で、恭弥とダエルは話し合う。
「ユニコーンに、ここまでする価値があるってのか?」
「オレが知るわけないっすよ」
2人とも表情を引き締め、今回の件を重く受け止めている。
「岩田さんが言うように、特殊戦闘班を作らないと」
「黒帯を取るのとは訳が違うんすよ」とダエルは言う。「戦場に送り込むくらいのキツイ訓練をしないと」
そんな会話の最中、恭弥のスマホが鳴った。
黒川が病院で待っているそうだ。
病室で待っていた黒川は、戻った恭弥に伝えてきた。
「総理が西さんにお会いしたいと申されています」
人目を避ける目的もあって、今から、とのこと。
ダエル(須賀先生)も呼ばれて、3人で移動することになった。
車を運転しながら、黒川は先の事件について話し始めた。
「大使のスケジュールが漏れた件は、調査を進めています。結果が分かり次第お伝えいたします」
さらに黒川は、今回の件で犠牲になった者たちについても口にした。
「要員はただ、国のために命を捧げる。先だった要員たちに恥じぬよう、生きていくことを誓って…」
その気持ちが、病室で恭弥に対する態度に繋がってしまった、と。
しかし恭弥は、黒川の考えに内心で疑問を持っていた。
心掛けはいいとしても、本題はそこじゃない
黒川は言葉を続ける。
自身がチームを編成する許可を得たこと。
そのため、内閣の調査室に報告する義務もなくなったこと。
必要な人員や経費は支援してもらえること。
「ただ私は、責任者ではあっても、問題が起きたときに責任を負うだけです。実質的な指揮権は西さんにあります」
そこまでしなくても、と恭弥は思う。
「ユニコーンが成功したら、いや成功せずとも、西さんが最善を尽くしてくださるなら十分です」
その言葉を聞き、恭弥も表情を緩めた。
「配慮してくださり、ありがとうございます」と言葉を添えて。
やがて車は、立派な建物のある駐車場に到着した。

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