第142話

恭弥から連絡を受けた神代は、詳しく説明するよう求めた。

恭弥は、埼玉で3台の車に襲われた状況を話す。

「アジア人だろうが、聞いたことねえ言葉も喋ってた」

さらに恭弥は、父の無事と、UBコップの職員が危険な状況にあることも告げる。

「オマエら(裏の組織)のことに、政府が介入しないようにする。代わりに、連中のことを見つけてくれ」

「わかった」と神代は言った。

電話を切ると、恭弥は父を襲われた恨みに燃え、復讐心を募らせるのだった。

オレの大切な人たちに手を出すヤツは、絶対に許さねえ!
黒川から連絡が入った。

受信すると、とんでもない事実が告げられる。

「暴漢と戦う西さんと須賀先生を映した動画が広まってます」

黒川いわく、通りすがりの者が撮影したらしい、とのこと。

「マスコミはともかく、SNSの動画は我々でも削除しきれません」

恭弥は、父の救助に集中するあまり、周りにまで気が回らなかった自分を嘆く。

「とにかくそこを離れてください。逮捕されてしまいます」

黒川の言葉を受け、恭弥はすぐに現場を離れた。

道路脇の林に入り、木々の間を抜けて走り去る。

途中、京極から連絡が入った。

「埼玉までは40分ほどで着く。黒川が事態を収めるまで、一緒に身を隠そう」

京極の言葉に甘え、恭弥は場所を伝えた。

木々を抜けたところに民家があり、その一角にあったコンビニで待ち合わせる。

コンビニで買ったドリンクを飲みながら、恭弥は京極を待っていた。

そこに、ミシェルからの連絡が入る。

動画を見て心配になったらしい。

「元の動画は削除されてるけど、拡散はされてるわ。それより、怪我は?」

「大丈夫だ。ただ、事態が収まるまで身を隠す必要があるから、しばらく連絡はできない」

「それなら、うちで匿ってあげられるわ」

ミシェルは、いつもの誘うような口調ではなく、本気で心配する表情を浮かべていた。

「オレは大丈夫だ。それより、DIのほうを頼む」

ミシェルは涙ながらに、「でも」と口にする。

恭弥はあくまでも、大丈夫だ、と言って通話を終えた。

落ち着いたら連絡すると、約束だけして。

京極の車が到着し、恭弥は助手席に乗り込んだ。

京極は、なぜ恭弥の父が狙われたのか、不思議に思っているようだった。

「ユニコーンを阻止したいなら、君を狙うはずだ」

「そもそも、ユニコーンがうまくいくと、みんな豊かになるんですよね? なのになぜ邪魔をするのかわかりません」

「皆にとっていいことじゃないからだろうな」と、京極は言った。

「人が持ってない物を手にして満足する者や、他人を見下すことで優位を感じる者、そういった連中は皆が豊かになる世界を望んじゃいない」

京極の説明を受け、恭弥は理解した。

ふと、母が心配だと口にした恭弥に、京極は言う。

「うちの連中がついてる。大丈夫だ」

どうやらすでに、手を回してくれていたようだ。

ふと、恭弥のスマホがなった。

画面を見て、父からだと気づいた。

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