恭弥から連絡を受けた神代は、詳しく説明するよう求めた。
恭弥は、埼玉で3台の車に襲われた状況を話す。
「アジア人だろうが、聞いたことねえ言葉も喋ってた」
さらに恭弥は、父の無事と、UBコップの職員が危険な状況にあることも告げる。
「オマエら(裏の組織)のことに、政府が介入しないようにする。代わりに、連中のことを見つけてくれ」
「わかった」と神代は言った。
電話を切ると、恭弥は父を襲われた恨みに燃え、復讐心を募らせるのだった。
オレの大切な人たちに手を出すヤツは、絶対に許さねえ!
黒川から連絡が入った。
受信すると、とんでもない事実が告げられる。
「暴漢と戦う西さんと須賀先生を映した動画が広まってます」
黒川いわく、通りすがりの者が撮影したらしい、とのこと。
「マスコミはともかく、SNSの動画は我々でも削除しきれません」
恭弥は、父の救助に集中するあまり、周りにまで気が回らなかった自分を嘆く。
「とにかくそこを離れてください。逮捕されてしまいます」
黒川の言葉を受け、恭弥はすぐに現場を離れた。
道路脇の林に入り、木々の間を抜けて走り去る。
途中、京極から連絡が入った。
「埼玉までは40分ほどで着く。黒川が事態を収めるまで、一緒に身を隠そう」
京極の言葉に甘え、恭弥は場所を伝えた。
木々を抜けたところに民家があり、その一角にあったコンビニで待ち合わせる。
コンビニで買ったドリンクを飲みながら、恭弥は京極を待っていた。
そこに、ミシェルからの連絡が入る。
動画を見て心配になったらしい。
「元の動画は削除されてるけど、拡散はされてるわ。それより、怪我は?」
「大丈夫だ。ただ、事態が収まるまで身を隠す必要があるから、しばらく連絡はできない」
「それなら、うちで匿ってあげられるわ」
ミシェルは、いつもの誘うような口調ではなく、本気で心配する表情を浮かべていた。
「オレは大丈夫だ。それより、DIのほうを頼む」
ミシェルは涙ながらに、「でも」と口にする。
恭弥はあくまでも、大丈夫だ、と言って通話を終えた。
落ち着いたら連絡すると、約束だけして。
京極の車が到着し、恭弥は助手席に乗り込んだ。
京極は、なぜ恭弥の父が狙われたのか、不思議に思っているようだった。
「ユニコーンを阻止したいなら、君を狙うはずだ」
「そもそも、ユニコーンがうまくいくと、みんな豊かになるんですよね? なのになぜ邪魔をするのかわかりません」
「皆にとっていいことじゃないからだろうな」と、京極は言った。
「人が持ってない物を手にして満足する者や、他人を見下すことで優位を感じる者、そういった連中は皆が豊かになる世界を望んじゃいない」
京極の説明を受け、恭弥は理解した。
ふと、母が心配だと口にした恭弥に、京極は言う。
「うちの連中がついてる。大丈夫だ」
どうやらすでに、手を回してくれていたようだ。
ふと、恭弥のスマホがなった。
画面を見て、父からだと気づいた。

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