第140話

恭弥の父を乗せた車が道路を走る。

その後ろに、護衛人たちが乗った車が続く。

さらに後ろを、例のワゴン車が追っていた。

交差点を右に曲がったところで、ワゴンの後ろから別の車が加わってきた。

黒いセダンと、白いトラックだ。

いっぽう、ダエルが運転する車は、スピードに乗り切れないでいた。

車たちの間を縫うようにして進んでいるが、いかんせん車の数が多すぎる。

少し前に事故でもあったのか、検問なども実施されていたため、車の列に巻き込まれてしまう。

なんと間の悪い…

ちらりと道路脇に目をやったダエルは、ふとこんな質問を投げかけてきた。

「リーダー、まだまだ金あるんすよね?」

「こんなときに、なんだ?」

「この件が終わったら、同じ車買ってくださいよ」

叫ぶが早いか、ダエルはいきなりハンドルを切った。

道路脇の林に突っ込み、降りの勢いそのままに、木々の間を突き進む。

木にサイドミラーをぶつけても、悪道の揺れでライトが割れても、まるでお構いなし。

恭弥のスマホが鳴り、受信した。

「ワゴンのほかに、黒いセダンと貨物トラックに囲まれてしまいました」

それらの車にはスモークが施されているため、人数は把握できない、とのこと。

追突されないよう、護衛人の車でガードするよう、恭弥は指示を出した。

そうしている間にも、恭弥とダエルの車もようやく車道へと舞い戻る。

「こっからは、心置きなく飛ばせるっす」

恭弥の父を乗せた車は、前をゆくセダンに嫌がらせを受けていた。

いきなりスピードを下げられたり、抜かそうとしたら別のワゴンに邪魔されたり。

恭弥の父も、運転手も、異変が起こっていることに気づき始める。

いっぽう、護衛人たちは、戦闘の準備を始めていた。

市街地から少し離れた道路に入ったため、一般車の姿も見えない。

ガスガンと警棒を備え、戦いに向けて気持ちを引き締めた。

道路脇が木々に囲まれる場所を走っていると、恭弥の父を乗せた車が、いきなり横から体当たりを受けた。

その様子を見ている護衛人たちは、まずはワゴンに対応しようと移動する。

すると今度は、恭弥の父が乗った車に、後ろから白いトラックが迫ってきた。

その瞬間、前を走るセダンが速度を緩め、衝突!

後ろから来る白いトラックは、勢いを緩めず突進してくる。

護衛人がそれに気づき、ハンドルを切った。

恭弥の父を乗せた車と、トラックとの間に、自分たちが乗った車を滑り込ませる。

護衛人たちの車は、真横からトラックに追突され、そこでようやく動きは収まった。

しかしすぐさま、別の危機が訪れる。

ワゴンから男たちが出てきたのだ。

いっぽう、衝撃のため混乱していた恭弥の父は、頭を抑えていた。

衝撃を吸収するためのクッションが、窓を覆っている。

鉄パイプやナイフを持った強面の男たちが、恭弥の父が乗った車を囲む。

恭弥の父が乗っている車の窓を、鉄パイプでガンガン打ちつけた。

ようやく追いついてきた恭弥たち。

後ろからきた(恭弥たちの)車を見て、鉄パイプの動きも一瞬止まっていた。

車を降りた恭弥とダエルは、連中と対峙した。

歯を食いしばる恭弥は、ダエルに向けて言い放つ。

「オマエは一人も殺るな」

怒りに任せて突っ込む恭弥に、先頭の男がナイフを繰り出してくる。

軽く手をキャッチした恭弥は、相手の腕を捻るようにしてナイフを奪い、まずは手のひらにドスッ!

背中に回って、右腕に4度のドスッ!

「俺たちでやりあうならまだいい。家族にまで手ぇ出してんじゃねえ!」

叫ぶと同時に、恭弥のナイフ捌きが牙を剥く。

容赦なく、相手の腹をブシュウッとV字に切り裂いた。

横から殴りかかってきたバット男を、水平蹴りで対応。

こちらもすぐに、ナイフで3度、ドスッ!

残りの連中にも、恭弥は鋭い眼光で睨みすえる。

ダエルも横に立った。

互いに突進することで、2人VS多数のバトルが始まった。

その様子を、恭弥の父が車の中から見ていた。

「恭弥?」
若い女性が運転する車が、バトルの現場に接近していた。

やや離れた位置で違和感を感じた女性は、車を止めてスマホを構える。

映像に残すつもりらしい。

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