第130話

ジェラールの名前を口にした恭弥。

そしてラノックは、恭弥がゴッド・オブ・ブラックフィールドだと気づいた。

話してくれないか、というラノックに、恭弥は「はい」と答えた。

「でもその前に、気になる点ってのが何なのか、教えてください」

ラノックは了解し、話し出した。

恭弥が転生したかもしれない、ということに気づいたのは、シャフランの供述がきっかけだった。

ありえないと思いながらも、これまでの恭弥が高校生とは思えないほどの活躍をしているのも事実。

「ゴルフ場事件の翌日には、アメリカから協力要請がきたんだ」

アメリカは、ブラックヘッドを探している。

それは日本から300km圏内にあると踏んでいるらしい。

アメリカの安全に関わるため、ブラッグヘッドを手に入れるのに血眼になっているそうだ。

「場合によっては、イギリスとの戦争も考えてると聞いたよ」

イギリスは、欧州連合から離脱し、ユニコーンにも不参加の意を示している。

理由はわからない、だからこそ知る必要がある。

「貴重といっても、たかが宝石ですよね?」と恭弥が口を挟んだ。

「ああ。でもアメリカは、おかしなことも言っていた。ブラックヘッドはただの宝石ではなく、不可解な現象かもしれないと」

恭弥が生まれ変わったことに触れたラノックは、真剣な表情で聞く恭弥にこう告げた。

「ヨーロッパの情報局では、ブラックヘッドは一種の生命エネルギーかもしれないと踏んでいる」

恭弥は思った。

つまりオレは、ブラッグヘッドの力で生き返ったってことか?

そしてすぐに、自分がどこに連れていかれるのかに気づいた。

「もしかして、オレをフランスの実験室に連れて行こうと?」

「まさか」とラノックは軽く笑って、恭弥の意見を否定した。

「シャフランに会って欲しい」

ラノックいわく、シャフランは恭弥と話したがっているそうだ。

その機会があれば、アメリカとイギリスについて知っていることを話すと。

「つまり、ヤツの口を割るために、オレを利用しようと?」

ラノックはまた笑顔を見せて否定した。

「君は私の友だ。無理強いはしない。君がゴッド・オブ・ブラックフィールドだってことも、誰にも話さないよ」

ラノックは、恭弥がシャフランに会いたくないなら、ユニコーンの決定権者たちにだけ会ってくれればいい、と言う。

みな、各国のホットラインだそうだ。

何か妙な胸騒ぎを感じた恭弥は、「何か隠してませんか?」と聞いた。

ラノックは笑って否定するばかりだった。

ラノックからの話は終え、今度は恭弥が話す番となった。

生まれ変わりの経緯について、恭弥は包み隠さず話した。

ただし、須賀実がダエルの生まれ変わりだという点を除いて。

「信じられないね」というラノックに、「オレもときどき、夢かもしれないって思ってます」と恭弥。

ラノックは、別の部屋で休むと言い残し、その場から移動した。

恭弥も、空いている部屋を自由に使っていいと告げて。

話の内容がかなり重めだったため、精神的に疲れを感じた恭弥は、背もたれを倒して横になった。

ふとスマホが鳴り、ポケットから取り出す。

通話できるなんて、さすがは大使が乗る飛行機だけあるな

とか思いながら、通話に応じた。

黒川からの電話で、こちらも重めの内容だった。

「総理の裏金がスイスバンクにあると明らかになりました。しかもその一部が、内閣情報官を通して北朝鮮に渡ったと報道されました」

鉄道を繋げるための根回しとして、そのような動きがあったという。

黒川は、今後の問題を口にした。

内閣情報官の辞任、黒川やその部下、さらに恭弥のことが世間に知れ渡る可能性。

可能性というより、ほぼ間違いなくそうなる、と。

面倒なことになったな、と恭弥は思った。

「大使に頼んで、フランス大使館に避難してください。ご両親は我々がお守りします。できればフランスに出国してください。ご両親もすぐ出国できるようにします」

「黒川さんは大丈夫なんですか?」

「大丈夫です」

しかし恭弥は、その言葉が嘘であると見抜いていた。

黒川は最後にこう言った。

「ユニコーン参加の公式発表が行われるまで、耐えなければなりません」

通話を終えると、恭弥は目を閉じて考えた。

ラノックが隠していたのは、このことだったのだ、と。

恭弥としては、ユニコーンの公式発表をラノックに頼まねばならない。

それと引き換えに、シャフランに会うことを求められる。

そのときまた、スマホが鳴った。

神代からの連絡だった。

「今から会えねえか?」

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