木の枝に逆さに吊るされたダエルは、恭弥に対して「来ないでください」とつぶやいていた。
木の幹には、京極の部下のものが3人、ロープでくくりつけられている。
3人のうちの1人の靴には、発信器が内蔵されていた。
車で移動中の京極と恭弥。
運転する京極の横で、恭弥は眠り込んでいた。
その姿を見て、京極は驚く。
少し前まで激しい戦闘を繰り返していたのに、どうして眠れるんだろうと。
眠れば体力は回復するが、実際に眠れるかどうかは別問題だ。
このような緊急事態では、眠気が来る事などありえないからだ。
自分の安全が保障されているこの時間を無駄にしないこの感覚は、生まれ持った精神力だけでは不可能。
これまでに何度も、このような厳しい戦いを経験してきた証拠だ。
一体何者なんだ?
そのときスマホがなり、目覚めた恭弥。
神代からの連絡だった。
無事に先生の家族をホテルに送り届け、しっかりガードもつけてくれたそうだ。
倒した相手の処分も済ませたという。
恭弥は少し言葉に詰まり、そんな恭弥の心を察してか、神代は「言いたいことは大体わかる」とみなまで聞かなかった。
恭弥が京極と知り合いだったことにも触れた神代は、「お前ってヤツは」とつぶやいてから、5分後には加勢に行くと言ってくれた。
しかし恭弥は、その申し出は断る。
「そうかよ、勝手にしろ」と神代。
山に入ると、ダエルがいる少し手前で車を止めた。
敵にバレないためにだ。
「連中はまだこの山にいるでしょうか?」と京極に聞かれ、
「奴らは逃げる必要がありません」と拳を握る恭弥。「ターゲットは俺なんですから」
ただ問題は、この広い山のどこにいるかだ。
すると京極は、小型の受信機を取り出した。
任務遂行中の部下の靴の裏には、小型の発信をつけてあると。
約2キロ以内に入れば信号が受診されるという。
受信機の画面には、北東の方角に光がついていた。
「行きましょう」という京極に、恭弥は言う。
「社長はここにいてください。警察に知られないよう、口の堅い病院の手配もお願いします」
「生きて帰ってこれますか?」と京極。
「須賀先生を連れて、必ず」
京極は一瞬考えたが、結局は承諾して受信機を手渡してくれた。
契約金は倍にして返すので、部下も助けてくれるよう、恭弥に頼みながら。
行こうとした恭弥に、京極はナイフを差し出した。
京極が非武装地帯で使っていたナイフで、一種のお守りだと言う。
「どうして俺に?」と聞く恭弥。
「生きて必ず返しに来てもらうために」
その言葉を聞いた恭弥は、お礼を言って受け取るのだった。
受信機を頼りに歩みを進めていくと、ダエルたちが捕まっている木にたどり着いた。
逆さの状態になったダエルを見て、いくらダエルでも4時間以上この状態では命が危険だ、と感じる。
罠だったとしても、すぐに助けなければ!
ナイフを鞘から抜いて、木に近づく。
すると京極の部下が目を覚まして、来るなと言わんばかりに首を横に振った。
ダエルも目覚め、「リーダー」とつぶやく。
「家族は無事だ」と伝える恭弥。
そしてその表情を鬼のように怒らせた。
直後、足音を鳴らしながらやってきた無数の男たち。
その手にはバットや木刀などが握られている。
山本組だ!
左目のあたりに引っ掻き傷がある相手のボスは、「この時を待ちわびたぜ。ここがてめえらの墓場だ」と口にした。
部下の一人が、「絶対1人で来るって言ってたが、本当だったな」と言う。
それを聞いて、恭弥はやはり背後にシャフランがいる事を悟る。
「逃げてください」と、ダエルは弱々しく言う。「後で体制を整えてから」と。
でも恭弥は、「俺が誰だか忘れたのか?」と言いながら身構えた。
「この場で一人残らずぶっ潰せばいいだけの話だ」
引用:ピッコマ

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