恭弥と握手を交わした後、シャフランはスミセンと共に去っていった。
すぐさま社員たちが、社長である父に詰め寄る。
向こうに大義名分を与えてしまったんですよ、と。
「いや、違う」と父は言い切った。
「相手にとっても今回の交渉は予想外だったはずだ。そこに意義がある」
社員は青ざめたが、何も言い返せずにいた。
帰りの車の中で、父はこう聞いてきた。
「恭弥、お前は本当に俺の息子なのか?」
父は、恭弥がフランス語をネットで学んだことも怪しいと思っているようだった。
恭弥は一瞬驚いたが、「言っても信じられないと思います」と返した。
父は笑い、それ以上追及はしてこなかった。
「暴力団の力だけは間違っても借りるなよ」
「はい」と答える恭弥。
「母さんにも内緒だ」
「わかりました」
父が運転に集中し始めたのを見て、恭弥はダエルに、今から会えるかとメールを送った。
マンションの駐車場に着くと、恭弥は信頼している人に会いに行くと父に告げた。
「もう一度言うが、暴力団とは関わるな」
「大丈夫です」
父がマンションに戻るのを見届けた後、恭弥は歩き出した。
そして、戦場での銃撃戦を思い出すのだった。
銃弾が飛び交う中、ジープや建物を盾にして応戦するフランス軍。
相手からの銃弾は鳴り止まない。
少し離れた位置にいるダエルに向かって、恭弥はもう少し耐えてくれと伝え、自分は仲間の手を借りて建物の屋根にジャンプで飛び乗った。
薄闇の中、屋根伝いにダッシュで移動してゆく。
敵軍がランチャーを用意し、味方に打とうとするところ、屋根から飛び降りた恭弥がライフルで一斉に仕留めた。
敵軍の車が爆発し、その間もライフルを撃ちまくって切り込んでゆく。
K地点の鎮圧を完了した恭弥は、無線で見方に連絡を入れた。
最初にやってきたダエルが、「またリーダーの手柄っすね」と言ってきた。
「悔しいなら活躍して見せろ」と恭弥。
味方の状況は悪くないが、スミセンの姿が見当たらない。
思うところがあった恭弥は、表情を引き締めた。
そのころスミセンは、捕虜となる女性に詰め寄っていた。
怯える女性に、「お前の声など届きやしない」と言いながら。
そこへ恭弥が現れ、気まずい表情を浮かべるスミセン。
生存者がいたと言ってごまかそうとするスミセンに、恭弥は鉄拳制裁を加える。
「テメエのしてることは略奪者と同じだ」
何度もの打撃を受ける間、今回だけ見逃してくれ、とスミセンは願い続けていた。
恭弥を迎えにきたダエル。
車に乗った恭弥は、スミセンとシャフランに会ったことを話す。
「アイツら、生きてたんすか? どこにいるんです?」
ネクサスホテル、と恭弥が言うと、ダエルはギリッと歯を食いしばった。
「行きましょう」
引用:ピッコマ

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