シャフランから20億円を受け取るよう指示を受け、驚く恭弥。
ラノック自身が囮になり、敵を一掃しようという魂胆だ。
今まで数々の危険を掻い潜ってきただけに、ラノックは余裕の笑みさえ浮かべていた。
恭弥のほうも、2つほど頼みごとをする。
ゴント社に、西モータースの注文を優先してもらうこと。
シャフランの件で、恭弥が個人的に行動をとるのを認めること。
「お安い御用だ」とラノック。
その場で電話を入れ、車の件を解決してくれた。
そしてラノックは、さらに1つ個人的な頼みごとをしてきた。
一瞬だけ警戒した恭弥だが、ラノックからの頼みは他でもない、夕食の誘いだった。
食事前。
ミシェルに電話して、ドラマ制作の件について話す恭弥。
主役に関して、「薫じゃなくて愛子でいけ」と指示を出した。
制作発表の話も進める。
電話が済むと、テーブルの向かいにいるラノックに対して忠告を入れた。
このホテルには、危険な人物も紛れ込んでいる、と。
「君がいるから安心だ。これほど心強いことはないよ」とラノック。
デザートが運ばれてくるころ、ラノックに電話が入った。
車の件が順調に進んでいるとの報告だった。
タクシーで自宅に帰る途中、恭弥は何者かと連絡をとっていた。
帰宅すると、父母と一緒の時間を取る。
父いわく、ゴント社とのやりとりがスムーズに進んでいるらしい。
「お前のほうが事業に向いてるようだな」と父。
「自慢の息子だわ」と母。
恭弥は思う。
今日は胸糞悪いことばかりだったが、2人を見ていると気持ちが浄化されてゆく、と。
学校の放課後。
運動部の4人が、校庭で体操をしている。
やや離れたところで、恭弥とダエルが話していた。
話題は、ドラマ制作についてだ。
懸垂をしながら、ダエルは言う。
「その女(薫)、テレビではニコニコ笑顔振りまいてるくせに…外見に騙されるなってことっすね」
「呑気にテレビ見てるなんて、お前もすっかりおっさんだな」と恭弥。
「妻と娘の会話についてくためっすよ」
そんな他愛ない会話のあと、恭弥は本格的なトレーニングを再開することを示唆した。
「久々に新兵を受け入れることにしたからな」と恭弥。
説明を求めるダエル。
そのとき、黒い車から京極が降りてきた。
部下を5人ほど引き連れている。
実は恭弥は、昨晩帰宅するタクシーの中で、京極に連絡を入れていたのだ。
恭弥が講師を務める気になったのかと思い、喜ぶ京極。
そうではないが、トレーニングの相手役として使える人材をよこしてほしい、というのが恭弥の願いだった。
京極にしても、願ったり叶ったり。
ってことで、京極が部下を引き連れて学校にやってきたのだった。
京極は部下に対し、恭弥とダエルに挨拶するよう命じた。
「格闘術を教えてくれる、西教官と須賀教官だ。挨拶しろ」
5人はちょっと頭を下げたが、どうも恭弥やダエルをなめている様子。
眼光も鋭く、表情も厳しい。
それを見た恭弥は、いい目つきしてるな、と思いながら、ダエルにそっと耳打ちした。
「いきがってる新兵をどうやって教育するか、覚えてるか?」
ダエルは相手を睨み返し、不適な笑みを浮かべてつぶやいた。
「もちろんっす」

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