第103話

握手を交わしたあと、黒川は恭弥に1つ質問してきた。

「信頼する戦友とは、須賀先生でしょうか?」

すでに探りを入れられていたと知った恭弥は、キッと相手を睨んだ。

「すでに身辺調査してたようですね」

「私が話したんだ」と、京極が言った。

「それに、これが情報局のやり方なんだ。気を悪くしないでくれ」

黒川も詫びたため、恭弥は怒りをおさめた。

学校におもむいた恭弥は、校庭で活動する運動部の元へ向かった。

ダエルと部員のほかに、京極の部下たち5人も参加していた。

5人は恭弥を「理事」と呼んで、頭を下げた。

なんでも恭弥は、UBコップの理事に選任されたとか。

つまり、5人のボスになった、ということだ。

「聞いてねえぞ」と、表情を曇らせる恭弥。

5人は交互に、教育訓練についても教えてくれた。

内閣情報調査局から通達があり、恭弥とダエル、さらにその5人が対象の訓練が催されるそうなのだ。

勝手に話を進められていたことに、恭弥は憤慨した。

ともあれ、まずはダエルに報告だ。

ダエルだけ呼び出し、恭弥は正門近くの階段へと移動した。

黒川と話した内容を伝えると、ダエルは嬉しそうな反応を見せた。

「オレも情報局の一員すか?」

「なにが嬉しいんだ? 勝手に決められてんだぞ」

「いいじゃないっすか、局にも事情があるんすよ」

ダエルは拳を握りしめ、「退屈な日々が物足りないと思ってたとこなんすよ」と内心を打ち明けた。

ふと、恭弥のスマホが振動した。

京極からだ。

恭弥とダエルに伝えるより先に、いろいろと話を進めてしまったことについて、京極は軽く言い訳をした。

「それはそちらの都合でしょう!」と、恭弥は声を荒げる。

京極はさらに、教育訓練に参加するという話も、恭弥とダエルはパスしたことにする、と言って詫びてきた。

京極の素早いリカバリングを聞いた恭弥は、京極にも事情があったのだと察し、声を荒げたことを詫びた。

通話を終えると、今の件についてダエルに話す。

「チェッ、参加したかったのに…」

残念がるダエルをよそに、恭弥は部の状況を尋ねた。

姫野がやたら頑張ってるらしく、ダエルはその根性を認めていた。

黒川に送られたため、恭弥の車は警察署にある。

そこまで歩いて移動する間、神代から電話があった。

後藤組との抗争(デイビッド大柴の件)を聞きつけたらしく、怪我はないかと尋ねてきた。

「ないに決まってんだろ」

「そりゃそうか」と、神代。

後藤組は存続の危機にあるようで、神代の組もとばっちりを食っているらしい。

ってことで、「ほどほどにしとけよ」と軽く釘を刺してきた。

通話を終えるとすぐに、今度はミシェルから電話が来た。

ドラマの件が順調ってことと、アリオンに税務調査が入った、という報告だ。

黒川が言っていたように、情報局が早くも動きを見せてくれたようだ。

通話を終えると、また別の人物から電話が来た。

3連続でちょっとイラッとした恭弥だが、相手がラノックと知って大人しく応答した。

ラノックは今、日本に来ているらしい。

「本日3時に、ネクサスホテルで会えないか?」

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