握手を交わしたあと、黒川は恭弥に1つ質問してきた。
「信頼する戦友とは、須賀先生でしょうか?」
すでに探りを入れられていたと知った恭弥は、キッと相手を睨んだ。
「すでに身辺調査してたようですね」
「私が話したんだ」と、京極が言った。
「それに、これが情報局のやり方なんだ。気を悪くしないでくれ」
黒川も詫びたため、恭弥は怒りをおさめた。
学校におもむいた恭弥は、校庭で活動する運動部の元へ向かった。
ダエルと部員のほかに、京極の部下たち5人も参加していた。
5人は恭弥を「理事」と呼んで、頭を下げた。
なんでも恭弥は、UBコップの理事に選任されたとか。
つまり、5人のボスになった、ということだ。
「聞いてねえぞ」と、表情を曇らせる恭弥。
5人は交互に、教育訓練についても教えてくれた。
内閣情報調査局から通達があり、恭弥とダエル、さらにその5人が対象の訓練が催されるそうなのだ。
勝手に話を進められていたことに、恭弥は憤慨した。
ともあれ、まずはダエルに報告だ。
ダエルだけ呼び出し、恭弥は正門近くの階段へと移動した。
黒川と話した内容を伝えると、ダエルは嬉しそうな反応を見せた。
「オレも情報局の一員すか?」
「なにが嬉しいんだ? 勝手に決められてんだぞ」
「いいじゃないっすか、局にも事情があるんすよ」
ダエルは拳を握りしめ、「退屈な日々が物足りないと思ってたとこなんすよ」と内心を打ち明けた。
ふと、恭弥のスマホが振動した。
京極からだ。
恭弥とダエルに伝えるより先に、いろいろと話を進めてしまったことについて、京極は軽く言い訳をした。
「それはそちらの都合でしょう!」と、恭弥は声を荒げる。
京極はさらに、教育訓練に参加するという話も、恭弥とダエルはパスしたことにする、と言って詫びてきた。
京極の素早いリカバリングを聞いた恭弥は、京極にも事情があったのだと察し、声を荒げたことを詫びた。
通話を終えると、今の件についてダエルに話す。
「チェッ、参加したかったのに…」
残念がるダエルをよそに、恭弥は部の状況を尋ねた。
姫野がやたら頑張ってるらしく、ダエルはその根性を認めていた。
黒川に送られたため、恭弥の車は警察署にある。
そこまで歩いて移動する間、神代から電話があった。
後藤組との抗争(デイビッド大柴の件)を聞きつけたらしく、怪我はないかと尋ねてきた。
「ないに決まってんだろ」
「そりゃそうか」と、神代。
後藤組は存続の危機にあるようで、神代の組もとばっちりを食っているらしい。
ってことで、「ほどほどにしとけよ」と軽く釘を刺してきた。
通話を終えるとすぐに、今度はミシェルから電話が来た。
ドラマの件が順調ってことと、アリオンに税務調査が入った、という報告だ。
黒川が言っていたように、情報局が早くも動きを見せてくれたようだ。
通話を終えると、また別の人物から電話が来た。
3連続でちょっとイラッとした恭弥だが、相手がラノックと知って大人しく応答した。
ラノックは今、日本に来ているらしい。
「本日3時に、ネクサスホテルで会えないか?」

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