第104話

ラノックからの要望に応え、本日3時にネクサスホテルで会う約束をした恭弥。

(ネクサスホテルと聞いたためか、表情からはあまり気が進まない様子が見える。)

ラノックと会う件を黒川に伝えておくべきと判断し、道を歩きながら連絡を入れた。

「3時までは時間がありますし、私のオフィスで話しましょう。車でお迎えにあがります」

ということで、迎えに来てくれた黒川の車に乗り、オフィスへと移動した。

とあるビルのエレベーターに乗り、5階へ。

黒川いわく、表向きは普通の社名だが、実際は内閣情報調査室の東京支部、とのこと。

案内されたオフィスでは、正装で働く複数の社員の姿があった。

部長室に通され、お互いにソファに腰掛けて話し始める。

「病院で話したことは正式に承認されました。西さんは、うちの特別要員です。すべての機関が、西さんの任務に全面協力します」

黒川は、本日ラノックと会う際にもサポートを入れる、と打診してきた。

「それではラノックの警戒がかえって強くなるでしょう。今回はオレだけで…」

それならと、黒川もその件に関しては控えると宣言した。

さらに黒川は、病院で約束した通り、恭弥が刑事責任に問われないことも伝えてきた。

「問題が起こったら連絡してください。なるべく早く解決いたします」

「いろいろと、ありがとうございます」

「全世界が注目するユニコーンプロジェクトの正式発表まで、あと6ヶ月あまり。西さん、あなたがそのカギを握ってるんです。その程度の支援をするのは、当然なんですよ」

恭弥は率直に、黒川の思惑を尋ねた。

個人的にはどう思っているのか、と。

「本当にオレがラノックを説得できると? 正直うまくいくとは思ってませんよね?」

「西さんだけにこの課題を解決してもらうつもりはありません。現実的でないうえに、西さんの負担も大きすぎますので。ただあなたには、ジョーカーになっていただきたい」

黒川は、恭弥の役割を、トランプのジョーカーに例えた。

ゲームの行方を左右する最も重要なカードである、と。

黒川の率直な意見を聞いて、恭弥は少し気が楽になった。

ネクサスホテルに移動した恭弥は、オープンな場の一席でラノックを待っていた。

ドリンクを口にしたタイミングで、ふと横からくる2人組から異様な気配を感じ取る。

いくつもの修羅場をくぐり抜けた者だけが直感する、自分と似た者への警戒心。

恭弥は一瞬にして、その2人組が何人もの人間を葬ってきたと見抜いた。

2人組はそのまま、恭弥の前を通り過ぎてゆく。

恭弥はすぐに、黒川に連絡を入れた。

チャットを使い、ホテルに要員を配置したのかと尋ねる。

黒川いわく、ラノックと衝突しないよう、ホテルの外にしか配置させていない、とのこと。

2人組は、ラノック側の要員である可能性もある。

だがもし、プロジェクト反対派の刺客だったら?

恭弥はすぐ、ラノックに電話を入れた。

いったんは通話がつながったが、なぜか回線が悪く、すぐに切れてしまった。

とりあえずラノックは、今はホテルに到着し、地下からエレベーターで移動するところらしい。

嫌な予感がした恭弥は、2人組のあとを追った。

エレベーター前には誰もいない。

階段か?

いや…

直感に従い、貨物用エレベーターへ!

ダッシュで到着し、扉が閉まりかけたタイミングでボタンを押した。

扉が開き、2人組と正面から向き合う!

コイツら、オレを知ってる!!

連中はすぐに、スーツの内側に手を入れた。

銃?

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