酔っ払って寝込んでしまった神代の代わりに、恭弥がお会計を済ませようとする。
しかし女店主は断った。
「今日は光輝の奢りなんだろ? あんたが払ったら、(神代は)後で大騒ぎするからね」
女店主は神代に歩み寄り、勝手にズボンをまさぐって財布を取り出した。
レジに戻ると、結局1000円だけ受け取り、恭弥にレシートを差し出すのだった。
あまりの安さに、恭弥は内心で驚いていた。
女店主は恭弥に、酔い覚ましのお茶までご馳走してくれた。
ふと、過去を懐かしむように言葉を切り出す。
「光輝は根は優しいのさ。暴力団なんて務まらないと思ってたのにね」
そこへ松田たちがやってきて、神代を引き取って行った。
恭弥に向けて、松田は言う。
「スイートがひとつ空いてるんで、休んでってください」
恭弥はいったん遠慮したが、気が変わって好意に甘えることにする。
朝。
目覚めた恭弥は、腕の痛みを感じた。
ゴルフ場で受けた傷が、まだ癒えていないのだ。
ストレッチしながらベッドを出ると、ドアがノックされた。
「松田です。入っても構いませんか?」
「開いてるよ」
姿を見せた松田は一礼し、神代からの言伝を口にする。
「神代の兄貴が朝食をご一緒にとおっしゃってます」
「わかった、すぐ行く」
バイキング中のレストランで、神代と食事を楽しむ恭弥。
「あれくらいの酒で二日酔いかよ」
と神代をからかう恭弥。
「酒も飲めねえガキが」
「オレが本気で飲んだら…」
傭兵だった頃の恭弥は、浴びるほど飲んでいた。
今の体は、果たして酒に強いのか?
そんな疑問を持ちながらも、恭弥は神代にふっかける。
「オレが成人したら、勝負するか?」
「受けて立つ」
酒の話は終わりにして、神代は話題を変えてきた。
本気で足を洗うつもりらしく、お金の整理も始めているらしい。
「資産を整理したら、数十億にはなる。ホテルの分があってな。整理に時間がかかりそうだ」
それを聞いて、恭弥はしばらくの保留を提案した。
目立った行動はしないようにと、釘を刺して。
「オマエが抜けたら、海外勢力に押されるだろうからな」
恭弥は内心では、ユニコーンについても考えていた。
公表されるまでは、海外勢力を押さえておかねば
表の世界だけじゃなく、裏の世界も
神代が了承してくれたため、恭弥は食事の礼を言って席を立った。
仁道病院で、氷室の手当を受ける恭弥。
氷室は、相変わらず無茶してそうな恭弥に、説教を垂れてくる。
「普通の人なら、2〜3ヶ月は入院すべき重傷なんですよ。言うこと聞かないなら、強制的に入院してもらいます」
恭弥はたじたじになり、「わかりました」と返事をするしかなかった。
カフェテラスの一席で、恭弥はダエルと話していた。
ダエルは、ブラックヘッドのせいで蘇ったらしいと知り、持論を口にする。
「てっきり、神か悪魔の仕業かと思ってたっす」
「しばらくしたら、生き返った理由が判明するかもな」
「シャフランからの情報っすよね? なら、スミセが何か知ってるんじゃ?」
「ないない。あいつが知ってるなら、シャフランが見逃さねえさ」
でも確かめとくだけでも損はなし、ってことで、スミセンに会いに行こう、って話になる。
ダエルは、恭弥がジェラールに会ったという話題を振ってきた。
「あのひよっこ、元気でしたか?」
「ああ、今じゃ区隊長だ。オマエ、負けるかもよ」
さらに恭弥は、ダエルをからかうように、ジェラールと比較した。
ダエルはカチンときたらしく、「リーダーがトップ、オレがナンバー2。ジェラールはランク外だったっす」と厳つい表情でまくし立てた。
軽く笑いあってから、ダエルは恭弥の予定を聞いてきた。
「テレビ局に顔を出すつもりだ。台本の読み合わせがあるらしいからな」

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