「今度はこっちから攻撃する番です」
と口にした恭弥に、黒川からの歯止めがかかった。
情勢的にも我々が不利だし、何よりも恭弥に何かあったら全て終わりです、と。
しかし恭弥は引き下がらない。
このまま黙ってまた誰か殺されたりしたら、手遅れです、と。
それでも黒川は、恭弥の意見には反対だった。
「ご理解ください」と、真剣な表情で同意を求める。
少し考えたあと、恭弥は「わかりました」と答えた。
ダエルはその様子を、思うところがある様子で横目に見ていた。
ふと、黒川のスマホが鳴った。
通話を終えた黒川は、とりあえず警察とは話がついたため、すぐに逮捕される心配はなくなったと伝えてきた。
しばらくはマスクや帽子で顔を隠す必要はあるが、とりあえずは帰っても良い、と。
ということで、恭弥とダエルは、その場をあとにする。
暗い夜道を歩きながら、ダエルは恭弥に声をかける。
「コーヒーでも飲んでかないっすか? 俺たちだけで話すこともあるでしょう」
そんなわけで、喫茶店の一席で話を始める。
埼玉での戦いについて少し語った後、ダエルはこんな言葉を口にした。
「やるときは俺も連れてってください」
「なんのことだ?」と、とぼける恭弥。
「神代から情報を得たら、すぐ乗り込むつもりっすよね? 黒川さんには納得したように見せまてしたけど、俺の目はごまかせねえっす」
言葉に詰まる恭弥に、ダエルは続ける。
正直言うと、転生前の自分には未練がない。
今は仕事もあるし、家族もいて、しかもリーダーのおかげで大金持ちにもなれた。
だから満足している、と。
「それでも、もしリーダーの身に何かあったら、俺は迷わず今の生活を捨てるっす」
だから仲間として認めて欲しい、というダエルに、恭弥は言い返した。
「誰が仲間じゃないと言った?」
恭弥いわく、転生前とはフィジカル(肉体)が違うから、巻き込みたくないだけだ、とのこと。
すると、ダエルのほうも言い返してくる。
「もしオレが、今のリーダーは区隊長の体じゃないといって、リーダー扱いするのをやめたら、どう思うっすか?」
動くときは、以前のダエルと思って頼って欲しい、というのがダエルの言い分だ。
「わかったよ」と、恭弥は目を閉じてつぶやく。
「情報が入ったら、乗り込むぞ。オレたち2人で」
ダエルは満足し、「ラジャ」と微笑んだ。
そして恭弥は、ダエルに武器の調達を頼む。
スミセンと戦ったときに使った、鉈(ククリ)という武器を。
帰宅した恭弥は、母から父の容体が悪いと聞く。
「首と腰が痛くて眠れないって」
心配する恭弥に、母は別の件で問いかけてきた。
例の動画の件だ。
ナイフを振り回す恭弥を見たと、知り合いからたくさん連絡がきたそうだ。
「オレじゃないですよ。映画のPR動画だそうです。母さんは見たんですか?」
「怖くて見てないわ」
「もしそれがオレなら、今ごろ警察か病院にいるはずですよ」
「そうよね」と、母は納得して微笑んだ。
寝室から父の声が聞こえ、恭弥は部屋に入った。
軽く会話すると、ようやく父は安心して眠りについた。
自室のベッドに横になった恭弥は、薄暗い部屋で以前の恭弥に対して誓いを立てる。
先に謝っておく
オマエが大事にしてた父さんと母さんは、オレにとっても大事な人になった
意図的に(肉体)を乗っ取ったわけじゃないが、申し訳ないと感じてる
その代わり、全員を俺が守ってみせる!

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