ロビーのソファに座ったまま、目の前に立った3人のフランス人美女と話す恭弥。
女性陣は、黒いスーツに身を包んだ恭弥のコーデを褒めてきた。
少し離れたところにダエルが現れ、恭弥は目配せする。
近くで待機するよう、アイコンタクトを送って指示を出した。
目を逸らした恭弥に、ミシェルはちょっと不満を漏らすが、すぐに機嫌をなおして「今日は何するの?」と聞いてきた。
「とりあえず移動しよう」と言った恭弥は、歩きながらダエルにもう一度合図を送った。
円形テーブルについた恭弥と、3人のフランス人美女。
注文する前に料理が運ばれてきたため、ウェイターに尋ねた。
ウェイターが言うには、全額無料でサービスするように指示されている、とのこと。
全員にフルコースを用意してくれるそうだ。
それを聞いて喜ぶ女性陣。
さっそくミシェルが、ワインリストを頼んだ。
そして、「恭弥って大物なの?」と質問してきた。
「知り合いがいるだけさ」と恭弥。
心の中では、暴力団め、余計なことを、と思っていた。
3人の女性はワイン、恭弥はコーラで乾杯した。
お酒を飲まないの、とミシェルに聞かれて、高校生だからな、と答える恭弥。
「意外に真面目なのね」とミシェル。
女性たちが言うには、そのワインはフランスでもなかなか飲めないほど美味しいらしい。
談笑しながら、食事が進んでゆく。
女性たちは3人とも25歳で、全員ハーフだそうだ。
雑誌編集者のミシェル、証券会社に務めるセシル、フリーランスのシンディー。
恭弥は胸の内で、世間話をしている今の状況に焦りを感じていた。
と、そこへ電話が鳴り、ダエルからと思ったが、スマホを見ると神代光輝からだった。
ちょっとイラッとしつつ電話に出ると、ネクサスホテルにいるそうだな、と言ってきた。
恭弥が素っ気ない返事をすると、ただ仲良くなりたいだけさ、と光輝は言う。
「必要なものがあるなら五十嵐に言え」とも言われたが、恭弥はここで電話を切った。
そんな様子を見ていたミシェルは、何か他の用があるんじゃないの、と聞いてきた。
少しは話しておくべきか、と判断し、恭弥はスミセンと合流することを打ち明ける。
自分たちが呼ばれたのはそのためなの、とミシェルに聞かれ、恭弥は否定しない。
勘の鋭いミシェルは、家族の一大事なの?、と聞いてきた。
それもあるが、と恭弥は言葉を濁す。
そして、とにかく君らには申し訳ないことをした、とも。
打ち明けてくれたことに心を打たれたのか、「今回だけは許すわ」とミシェルは言ってくれた。
すぐにセシルも、「5人も楽しそうね」とミシェルに賛同した。
恭弥は礼をいい、またしばらく食事の時間が続いた。
ようやくダエルからメールがきて、スミセンが現れたことを知らせてきた。
「セルパン ブニムー」という言葉を添えて。
毒蛇、という意味だ。
それを見てすぐに、フランスのギャングがいると判断する恭弥。
ロビーにいるダエルは、スミセンと共にいる3人の男たちの左手に、赤い蛇の刺青が入っているのを確認済みだった。
3名は確実にギャングだ。
もしかしたら、他にもいる可能性がある、とダエルはメールで送ってきた。
ダエルは以前、パリでそのギャングと戦ったことがあり、見間違えるはずはない。
「セルパン ブニムー」がいることを疑問に思う恭弥は、シャフランとスミセンの護衛なのかと勘ぐった。
撤収を提案してくるダエルに、恭弥はいったん考え込んだが、明日になればギャングがいなくなる保証などない。
それに、明日になればスミセンのほかに、シャフランまで相手にすることになるかもしれない。
計画通り実行するとダエルにメールを送ると、ダエルはOKした。
ダエルのメールでは、スミセンたちはクラブへ向かったというが、恭弥はまだ考えがまとまらずにいた。
引用:ピッコマ

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