かなり回復した体に、自分でも驚く恭弥。
「生き返ったことに比べればありえるっす」とダエルは言う。
理由なんかより、喜べばいいんじゃないすか、とも。
「そうだな」と恭弥は同意し、室内にある電話を手に取った。
院長につながり、救急車を貸してくれるよう頼み込んだ。
何に使うかを尋ねてきたが、それは話せないことくらいわかってますよね、といった返事で貸してもらえることになった。
出発する恭弥に、「1人で大丈夫っすか?」とダエル。
「瀕死のテメエが来ても、足手まといだからな」と恭弥。
ダエルはムカッとしたが、それでも恭弥の背中を見送り、そのあとタバコで一服するのだった。
救急車のストレッチャーに寝そべるスミセンは、これからどうなるのか不安に思っていた。
「心配いらねえよ、すべてうまくいく」
恭弥はそう言うが、スミセンは緊張して唾を飲み込むのだった。
ホテルに着くと、スミセンが座った車椅子を恭弥が押して歩き出した。
すぐに案内の者が来て、五十嵐がとってくれた部屋へと導いてくれた。
1701号室のスイートルームだ。
広い部屋の中、ソファに座って待機する恭弥。
すぐ近くには、車椅子に座ったスミセンがいる。
時刻は9時。
テーブルの上にあった電話で、シャフランに電話してみることにした。
受付を通じてシャフランにつながり、部屋番号を伝えた。
「(スミセンを)確認したけりゃ1人で来い」
シャフランは、誘い出されて攻撃される心配をしていたが、「契約が最優先だ、そんなことしねえ」と恭弥は伝えた。
さらに恭弥は、スミセンを渡すまでの手筈について語る。
10時に契約し、弁護士の確認が取れ次第、スミセンを渡すと。
するとシャフランは、スミセンが逃げてしまうことを危惧して、自分の他にスミセンの見張り役を1人連れて行くと言い出した。
やはり抜け目のない相手だ、と感じた恭弥だが、その条件をのんでも問題はないと判断し、了承した。
シャフランは10分後に来ると言う。
1人の部下を連れて現れたシャフランは、包帯を巻いて車椅子に座るスミセンを見て驚く。
恭弥は不適に笑い、「仲間を売った代償とすりゃ、あのくらいの怪我なんでもねえさ」と、戦場での行いも交えた話をする。
シャフランは怒りの表情を浮かべ、この場でスミセンを連れて行ってもいいんだぞ、と脅しをかけてきた。
恭弥は、自分の側にも準備がしてあることを伝えた。
オマエが何かしたら、かなりの人数が乗り込んでくる、と。
シャフランは、「スミセンさえ返してもらえばそれでいい」と言って、部下の男に見張りの準備をさせた。
部下は懐から拳銃を取り出し、手に持って立つのだった。
シャフランは、ギャングのことも尋ねてきた。
恭弥は、契約後に解放する、と答えた。
それを聞いたシャフランは、西モータースとの契約に向かって部屋を出た。
恭弥はソファに腰掛け、今のところは全て順調だ、と心の中で呟いた。
解決すべきは、あと1つ•••
時計が10時6分を知らせるころ、五十嵐から電話があった。
無事に契約が結ばれた、との報告だ。
弁護士の確認も済んでいて、シャフランが恭弥の元に向かっているという。
いよいよスミセンを引き渡す時が来たのだ。
スミセンは、潰れていないほうの目の包帯を外してくれ、と言ってきた。
面倒に思いながら、恭弥はスミセンの包帯を少しずらし、見えるようにしてやった。
そこへ、シャフランがやってきた。
何人かの部下も連れている。
シャフランはネクタイを外しながら、「お前はオレの知ってる西恭弥にそっくりだ」と忌々しげに言う。
フッと笑った恭弥に対し、「オレのメンツを潰したその笑い方もな」と。
それを聞いた恭弥は、「隊員の命よりブラックヘッドが大事だったってのか?」
シャフランに歩み寄った恭弥は、「質問に答えろ」と睨みつけた。
シャフランは、恭弥の母親をズタズタにする、と脅してきたが、恭弥のほうも準備はしていた。
「入っていいぞ」と恭弥が言うと、数名の男がツカツカと部屋に踏み込んできた。
引用:ピッコマ

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