まずは一人目を、左のジャブでノックアウトした恭弥。
すかさず倒れた男の左腕を取り、容赦なく力を込める。
ボキィッ!
叫び声をあげる男を、もう一人の男が悲痛な表情で見ていた。
恭弥の容赦ない攻撃は続く。
叫び声をあげる男に向かって「うるせえな」と言い放ちながら、その頭に4回ほど蹴りを入れた。
倒れた男の全身は、小刻みに痙攣し始める。
恭弥はすぐさま、もう一人の男に目を向けた。
男は、ちょっとばかり冷や汗を流しながらも、ファイティングポーズをとった。
「てめえが西か? そいつは油断してたようだが、俺はそうはいかねえぞ」
恭弥は余裕の表情を浮かべたまま、こう切り返した。
「なら3つ数えてからぶん殴ってやる。油断せずガードしてみせろ」
恭弥の挑発にキレた男は、突進の勢いそのままに、渾身の右を放ってきた。
恭弥は数を数えながら、軽く避ける。
それなりに訓練しているのであろう男の連続パンチを、すべて紙一重で避け続けた。
最後に男が繰り出してきた右ストレートを、恭弥は右手で軽くキャッチした。
と同時に、「3」とつぶやく。
次の瞬間、恭弥の左が炸裂!
一撃で床に沈んだ男に跨り、胸ぐらを掴む。
「なんだ、てめえも油断したのか? チャンスをやるから、立てよ」
「もう、やめてくれ」
鼻血にまみれた顔で、男は懇願する。
しかし恭弥は揺るがない。
胸ぐらを掴んだまま無理やり立たせると、「本番はこっからだ」と言いながら、男のボディにドガッ!
そんな様子を遠目に見ていた店員が、警察に電話をかけていた。
いつもならこれくらいにしとくとこだが、と思いながら、恭弥は男の耳をつね上げた。
姫野の手前、もうちょっとお灸を据えとくべきと思ったのだ。
「リーダーに伝えとけ。西にやられたとな。それに、うちの学校の連中に手を出したら、このくらいじゃ済まねえともな」
男が返事せずにいたため、恭弥は相手の耳が千切れんばかりに引っ張った。
「わかったから、もうやめてくれ」
男が承諾したため、恭弥は相手の耳から手を離した。
うずくまる2人を見下ろした後、恭弥は姫野に目を向けた。
「これくらいでいいだろ?」
姫野は内心、やりすぎだと思いながらも、「うん」と返事をした。
サイレンとともに、パトカーが到着した。
イジメが発生してもくるのは遅えくせに、こういった場面での到着は早いんだよな…
とか思いながら、恭弥はスマホで黒川に連絡を入れる。
カフェでいざこざがあったことを伝えると、やってきた警察(2人組)に代わるよう指示された。
恭弥は言われた通り、警察にスマホを差し出し、出てくれるよう頼む。
でも警察は、2人に暴行を加えたのはお前なのか、と聞いてくるばかりだ。
仕方なく恭弥は、警察が電話に出てくれないことや、自分が連行されることを、黒川に伝えた。
「(警察は)どこの所属かを聞けますか?」と黒川。
恭弥が尋ねると、警察は答えた。
「赤坂南署だ。いいからついてこい」
恭弥はすぐ、黒川に報告する。
「1分だけお待ちください」と、黒川は言った。
外に連れ出され、パトカーまで連行される恭弥。
警察のスマホがなり、電話に出た。
電話の相手と少し会話するや、警察の態度が一変。
恭弥に頭を下げ、「失礼いたしました」と詫びを入れてきた。
そしてすぐに、上司のほうが、部下に指示を出す。
「店で倒れていた2人を連れてこい」
というわけで、結局は恭弥に倒された2人が連行されていった。
黒川との通話も終えると、恭弥は姫野に目を向けた。
そして、度肝を抜かれたような表情を浮かべる。
さらに、冷や汗まで流れ出た。
「カッコいいじゃん」
とか言いながら、姫野はちょっとはにかんだような表情で、頬を染めていた。
思わぬ不意打ちに、恭弥は焦る。
なんでてめえがミシェルみてえな顔してんだよ?

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