森の中で、2人のうちの1人を仕留めた恭弥。
まだ1人残っているため、油断せずに間合いを計っていた。
いっぽうの相手も、恭弥に対して油断はしていなかった。
気づいたときには、仲間はみんなやられていたのだから。
そして、動きを止めた。
こういった状況のときは、先に動いたほうが不利だ、と。
夜の闇に包まれ、森の中で気配を殺す2人。
意外なほど近くにいることを、お互いに気づいていなかった。
京極をバックアップするため、激しく援護射撃するダエル。
横倒しになった車の陰に隠れながら、首斬り屋は考えていた。
派手に連射してはいるが、1人しか撃っていないと。
そして、現状を分析する。
3人いた相手のうち、1人は森に入った。
残りは2人だが、1人しか撃っていない。
つまり、この射撃の目的は、俺を仕留めることではない。
ということは…
もう1人が接近していることに気づき、首斬り屋は身を翻して銃を構えた。
そして、銃を構える京極と対峙した。
互いに狙いを定めつつ、英語で会話する。
「ここまで来るとはな」
「お前だけは私が殺す」
首斬り屋は、京極のことなど覚えてはいなかった。
何人もの相手に恨みを持たれているため、そのうちの1人なのだろう、くらいのものだった。
「俺が誰か知りながら姿をさらすとは、いい度胸だ」と首斬り屋。
京極が撃つタイミングで、身を横にかわした首斬り屋は、一発目を京極の右肩に当てた。
京極のほうも体を捻っていたため、急所は回避した。
左手で銃を連射する、京極。
首斬り屋は走って距離を取り、岩陰に隠れた。
岩に向けて撃ち続けながら、京極は一歩ずつ距離を詰めてゆく。
いささか興奮状態の京極を遠目に見て、恭弥は焦りを感じていた。
少ない銃弾を乱射しては、すぐに弾切れになってしまう、と。
ダエルに目を向けると、こちらはすでに弾切れのようで、車の影から動けないでいた。
そして、自分の状況を振り返る。
敵が接近しているため、うかつには動けない。
京極を助けに向かいたくても、近くにいる敵もかなりの猛者だけに、慎重にならざるを得ないのだ。
京極の銃が、ついに弾切れになった。
その瞬間を見計らってか、岩陰から首斬り屋が姿を現し、狙い撃ちしてきた。
左肩を撃ち抜かれ、その場に倒れ込む京極。
ゆっくり近づいてくる首斬り屋は、京極の目の前まできて銃を向けてきた。
「戦い方を知らんようだな。最後に勝つのは、弾のあるほうだ」
歯を食いしばりながら、「首斬り屋」と口にする京極。
自分の異名を聞いて、首斬り屋は思い出した。
京極が、あの戦場で戦った、生き残りであることを。
卑屈な笑みを浮かべた首斬り屋は、京極の頭に狙いを定めて言い放つ。
「仲間のもとに送ってやるよ」
京極は心の中で、かつての仲間たちに誤った。
すまん…
と、そのとき!
首斬り屋の銃が吹っ飛んだ。
森の中にいた恭弥が、首斬り屋の銃に狙いを定めて撃ったのだ。
しかし、そのせいで、森に潜んでいたもう1人の敵に見つかってしまった。
意外なほど近くにいたことに驚きながら、敵は恭弥を撃とうとした。
恭弥もすぐに気づき、敵に向けて銃を構える。
敵の右手を恭弥の左手が、恭弥の右手を敵の左手が、それぞれ発射するタイミングでよけた。
そのまま互いの左肩越しに銃を撃ち合うが、距離が近すぎるためお互いにヒットはしなかった。
先手を取ったのは、恭弥だった。
相手の右手を叩き、銃を手離させた。
すかさず銃で仕留めようとするが、相手はさっと身をひるがえしてよける。
そして恭弥の銃も、相手の手刀によって、地面に落とされてしまった。
しかしすぐに恭弥は、相手の顔面に膝蹴りを入れた。
そのまま、両の拳で連打する。
あまりの迫力に、相手はさがる一方だったが、どうにか踏みとどまって左の拳を繰り出してきた。
恭弥は軽く防御し、拳と蹴りで相手をよろめかせた。
それでもなお、相手は体制を整えて攻撃してくる。
相手の左拳を避けたタイミングで、恭弥はすかさず相手の脚を取り、そのまま押し倒して転ばせた。
背中を地面につけた相手は、なおも蹴りを放ってきた。
しかし恭弥は、相手の蹴りを防いでからその脚を両腕で挟み、ゴキゴキッ!
悲鳴を上げた相手の腰に、ナイフがあるのを見つけ、さっと抜いて首にあてがった。
そのとき。
「小僧」との声がかかって手をとめた。
すぐさま、声の方向に目を向ける。
首斬り屋が京極を羽交い締めにし、首にナイフを当てている光景が目に映った。
「やるじゃねえか、だが、ここまでだ」と首斬り屋。
「人質を解放して、サシでやりあおうぜ」と、恭弥は発破をかける。
お互いに人質をとっている状況だが、首斬り屋は部下のことなどなんとも思っていない。
首斬り屋は、こう言ってきた。
「俺にとっちゃ、そいつ(部下)を殺されても構わないが」
恭弥はすぐに、首斬り屋の真意を見抜いた。
自分の強さに自信を持つ首斬り屋なら、挑発すれば乗ってくるだろう、と。
「自信ねえのか?」
案の定、首斬り屋は乗ってきた。
京極をその場に置き捨て、首斬り屋は前に進み出た。
恭弥もまた、首斬り屋の部下に最後の一撃を喰らわせてから(気絶させるため)、前に進み出た。
互いに銃はなく、ナイフによる勝負が始まった。

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