デイビッド大柴との間にいるギャングたちをみても、全く動じない恭弥。
「時間が足りないなら待ってやる。もっと呼んでいいぞ」
相手からの返事がないため、どうやらこの人数でOKだと判断した。
「なら今から全員、オレがぶっ飛ばしてやる」
恭弥の余裕をみて、大柴は口元を緩めた。
「ビッグマウスも大概にしろ」
いっぽう、前に恭弥が戦っている姿を見たことのある薫は、恭弥がハッタリを言っているとは思っていなかった。
大柴は、近くにいた大柄なギャングに命じる。
「さっさとあのガキをミーの前に土下座させろ」
大柄なギャングは、相手がただのガキだと知って、ちょっと拍子抜けしていた。
組同士の抗争でもあると思ってこの場にやってきたのだ。
「マネーなら支払うから、さっさと始末しろ」と大柴。
大柄なギャングは息を吐きつつ、「分かりましたよ。あんなガキ、俺一人で十分です」とつぶやいた。
他のギャングたちがニヤニヤと傍観する中、大柄なギャングは恭弥の眼前まで歩み寄る。
ミシェルたち3人は、怯える表情を愛浮かべながら、体を寄せ合っていた。
恭弥を見下ろしながら、大柄なギャングがニヒルな笑みを浮かべる。
「ガキのくせにいい度胸だ。ちっとは楽しませてくれよ。そうだ、ハンデをやる。先に殴れよ」
「それじゃ、お言葉に甘えて」
口もをと緩めた恭弥は、左の頬を差し出してきた相手に、思い切り右の拳をお見舞いした。
フック気味の回転をつけて放たれた一撃を受け、ギャングは1回転半してから倒れた。
一発でノックダウンしたのだ。
ホワット? と思いながら眉を顰める大柴。
だからを気をつけろって言ったのに、と思いながら冷や汗を流す薫。
倒れたギャングは、全身を震わせながら血を吐いていた。
「次はどいつだ?」と、恭弥が挑発する。
20人以上いるギャングたちが、「うおおおお」と叫びながら、いっせいにかかってきた。
恭弥は表情を引き締めながら、右の拳を構える。
ドガッ!
(ソファに座る大柴と薫が観戦する中、ドスッ、バキッ、ゴシャッ、という効果音が鳴り響く。)
いくらなんでも、この人数なら心配ないわ、と薫は自分に言い聞かせようとしていた。
いっぽうのミシェルたち3人は、怯えた表情で目の前のバトルを見守っていた。
「大丈夫よ」とミシェルが愛子たちを励ます。
「キョウヤが言ったこと、覚えてるよね?」
「ミシェルさんは怖くないんですか?」と愛子。
「怖いわよ」とミシェル。「でも、結果はわかってるから」
そこへ恭弥が声をかけた。
左手で、鼻血を流すギャングの胸ぐらを掴み、後ろを振り返りながら。
「ここまで来たんだ、しっかり見届けろ。コイツらが、どれほど無力で、どれほど醜いのかをな」
恭弥に近づくギャングから、次々と倒れてゆく。
バキッ、ドゴッ、ドガッ…
ギャングたちがやられてゆく音を耳にしながら、大柴は徐々に焦りの色を見せ始めた。
「ガキ一匹になに手こずってる。さっさと始末しろ」
恭弥は余裕の表情を崩すことなく、着実に相手を仕留めてゆく。
「守らねえといけねえヤツらがいるから、手加減してやれねえんだわ」
スキンヘッドの拳を左に避けつつ、ボディに重い左拳を食らわせた。
その一撃で、スキンヘッドのアバラが折れた。
「全員、一箇所は骨を折らせてもらう」
残っているギャングたちは、その言葉を聞いてたじろいだ。
そんな連中を見て、大柴が一喝する。
「どんな手を使ってもいいから殺せ! 後始末は何とかする!」
「本当に後始末してくれるんですね?」とギャングの1人が聞いた。
「後始末どころか、殺した奴にはボーナスをやろう」
それならと、残っているギャングたちは、一斉にナイフを取り出した。
それでも恭弥は、まだまだ余裕の表情を浮かべている。
さっそく飛びかかってきた1人目の右手を掴み、後方にひねってゴキャッ!
四方から4人の一斉攻撃(ナイフ)が繰り出されたが、サッとしゃがんですべて回避。
右にいる者の腕を折り、左からのギャングには蹴りを見舞う。
次のギャングは、ナイフを避けながら懐に飛び込み、左手を相手の顔面にあてがった。
勢いのまま、床に相手の後頭部を叩きつける。
残りのギャングがちょっと怯んだ隙に、さっと距離をつめて左ストレートを一閃。
一番後方にいたギャングが、恐れを知らない恭弥を見てこう思っていた。
どんな奴でもナイフを見ればビビるのに、あいつはいったい、どんな人生を歩んできたんだ?
その間にも、恭弥は着実に敵の数を減らしてゆく。
戦意を失いつつあるのか、残りのギャングたちはためらいの表情を浮かべていた。
大柴の表情にも、怯えの色が見える。
ふと気づけば、立っているギャングは5人ほどになっていた。
いっぽうの恭弥は、まるで無傷だ。
「こねえなら、こっちから行ってやる」
セリフと同時に踏み出した。
大柴は、「女を人質に取れ」と叫んだ。
読んでいたとばかりに、「言うと思ったぜ」と恭弥が言う。
飛び膝蹴りで1人を倒し、勢いを付けたまま次の一人も拳で倒した。
さらにもう1人、今度は首にラリアット!
次なる相手には、右肘をアゴに見舞う。
最後の1人がナイフで斬りつけてきた瞬間、恭弥はスライディングで相手を転ばせた。
そのまま相手の左足を取り、ゴキッ!
ついに全員を倒し、残るは大柴と薫だけとなった。
「呼ぶヤツがいるなら呼べ、待っててやる。いないなら、オマエらの番だ」
恭弥が大柴との距離を詰める。
大柴はたじろぎながら、話し合いを持ちかけてきた。
「ミーが悪かった、アイムソーリー」
ザッ、ザッ、ザッと、恭弥の足音が近づく。
「共同制作もポジティブにシンキングするよ。製作費もトゥギャザーする」
大柴の前まで歩み寄った恭弥は、厳しい表情で言い放つ。
「前に言ったよな、今度会ったらちゃんとした日本語使えって」
恭弥はまず、左の平手打ちを見舞った。
頬を腫らして泣き叫ぶ大柴の胸ぐらを掴み、尋ねる。
「オマエ、こういうことすんの、初めてじゃねえだろ」
「初めてだ」
バシッ!
口の聞き方がなってないと、恭弥はまた平手打ちを食らわせた。
倒れた大柴に、もう一度同じことを聞く。
「おっしゃる通りです」
「なら、殴られて当然だよな」
バシッ、バシッ、バシッ、バシッ、バシッ…
ひたすらに左の平手打ちを繰り返したため、大柴の右頬は、見るも無惨に腫れ上がっていた。
なんとか許しを乞う大柴だが、恭弥は聞く耳を持たない。
「オレに復讐したっていいんだぜ」
大柴は恭弥の足元にすがりつき、許しを乞い続ける。
「さっきオレを殺せと命じてたよな? なのにビンタくらいでチャラにしろとは、虫がいいとは思わねえのか?」
大柴の胸ぐらを左手で掴んで立たせると、右の手のひらで強烈なビンタを食らわせた。
目についた薫を見ると、「お前もいたっけな」と言ってから、ミシェルたちを振り返った。
「オマエらに枕営業させようとした女だ。好きにしろ」

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