第99話

デイビッド大柴との間にいるギャングたちをみても、全く動じない恭弥。

「時間が足りないなら待ってやる。もっと呼んでいいぞ」

相手からの返事がないため、どうやらこの人数でOKだと判断した。

「なら今から全員、オレがぶっ飛ばしてやる」

恭弥の余裕をみて、大柴は口元を緩めた。

「ビッグマウスも大概にしろ」

いっぽう、前に恭弥が戦っている姿を見たことのある薫は、恭弥がハッタリを言っているとは思っていなかった。

大柴は、近くにいた大柄なギャングに命じる。

「さっさとあのガキをミーの前に土下座させろ」

大柄なギャングは、相手がただのガキだと知って、ちょっと拍子抜けしていた。

組同士の抗争でもあると思ってこの場にやってきたのだ。

「マネーなら支払うから、さっさと始末しろ」と大柴。

大柄なギャングは息を吐きつつ、「分かりましたよ。あんなガキ、俺一人で十分です」とつぶやいた。

他のギャングたちがニヤニヤと傍観する中、大柄なギャングは恭弥の眼前まで歩み寄る。

ミシェルたち3人は、怯える表情を愛浮かべながら、体を寄せ合っていた。

恭弥を見下ろしながら、大柄なギャングがニヒルな笑みを浮かべる。

「ガキのくせにいい度胸だ。ちっとは楽しませてくれよ。そうだ、ハンデをやる。先に殴れよ」

「それじゃ、お言葉に甘えて」

口もをと緩めた恭弥は、左の頬を差し出してきた相手に、思い切り右の拳をお見舞いした。

フック気味の回転をつけて放たれた一撃を受け、ギャングは1回転半してから倒れた。

一発でノックダウンしたのだ。

ホワット? と思いながら眉を顰める大柴。

だからを気をつけろって言ったのに、と思いながら冷や汗を流す薫。

倒れたギャングは、全身を震わせながら血を吐いていた。

「次はどいつだ?」と、恭弥が挑発する。

20人以上いるギャングたちが、「うおおおお」と叫びながら、いっせいにかかってきた。

恭弥は表情を引き締めながら、右の拳を構える。

ドガッ!

(ソファに座る大柴と薫が観戦する中、ドスッ、バキッ、ゴシャッ、という効果音が鳴り響く。)

いくらなんでも、この人数なら心配ないわ、と薫は自分に言い聞かせようとしていた。

いっぽうのミシェルたち3人は、怯えた表情で目の前のバトルを見守っていた。

「大丈夫よ」とミシェルが愛子たちを励ます。

「キョウヤが言ったこと、覚えてるよね?」

「ミシェルさんは怖くないんですか?」と愛子。

「怖いわよ」とミシェル。「でも、結果はわかってるから」

そこへ恭弥が声をかけた。

左手で、鼻血を流すギャングの胸ぐらを掴み、後ろを振り返りながら。

「ここまで来たんだ、しっかり見届けろ。コイツらが、どれほど無力で、どれほど醜いのかをな」

恭弥に近づくギャングから、次々と倒れてゆく。

バキッ、ドゴッ、ドガッ…

ギャングたちがやられてゆく音を耳にしながら、大柴は徐々に焦りの色を見せ始めた。

「ガキ一匹になに手こずってる。さっさと始末しろ」

恭弥は余裕の表情を崩すことなく、着実に相手を仕留めてゆく。

「守らねえといけねえヤツらがいるから、手加減してやれねえんだわ」

スキンヘッドの拳を左に避けつつ、ボディに重い左拳を食らわせた。

その一撃で、スキンヘッドのアバラが折れた。

「全員、一箇所は骨を折らせてもらう」

残っているギャングたちは、その言葉を聞いてたじろいだ。

そんな連中を見て、大柴が一喝する。

「どんな手を使ってもいいから殺せ! 後始末は何とかする!」

「本当に後始末してくれるんですね?」とギャングの1人が聞いた。

「後始末どころか、殺した奴にはボーナスをやろう」

それならと、残っているギャングたちは、一斉にナイフを取り出した。

それでも恭弥は、まだまだ余裕の表情を浮かべている。

さっそく飛びかかってきた1人目の右手を掴み、後方にひねってゴキャッ!

四方から4人の一斉攻撃(ナイフ)が繰り出されたが、サッとしゃがんですべて回避。

右にいる者の腕を折り、左からのギャングには蹴りを見舞う。

次のギャングは、ナイフを避けながら懐に飛び込み、左手を相手の顔面にあてがった。

勢いのまま、床に相手の後頭部を叩きつける。

残りのギャングがちょっと怯んだ隙に、さっと距離をつめて左ストレートを一閃。

一番後方にいたギャングが、恐れを知らない恭弥を見てこう思っていた。

どんな奴でもナイフを見ればビビるのに、あいつはいったい、どんな人生を歩んできたんだ?

その間にも、恭弥は着実に敵の数を減らしてゆく。

戦意を失いつつあるのか、残りのギャングたちはためらいの表情を浮かべていた。

大柴の表情にも、怯えの色が見える。

ふと気づけば、立っているギャングは5人ほどになっていた。

いっぽうの恭弥は、まるで無傷だ。

「こねえなら、こっちから行ってやる」

セリフと同時に踏み出した。

大柴は、「女を人質に取れ」と叫んだ。

読んでいたとばかりに、「言うと思ったぜ」と恭弥が言う。

飛び膝蹴りで1人を倒し、勢いを付けたまま次の一人も拳で倒した。

さらにもう1人、今度は首にラリアット!

次なる相手には、右肘をアゴに見舞う。

最後の1人がナイフで斬りつけてきた瞬間、恭弥はスライディングで相手を転ばせた。

そのまま相手の左足を取り、ゴキッ!

ついに全員を倒し、残るは大柴と薫だけとなった。

「呼ぶヤツがいるなら呼べ、待っててやる。いないなら、オマエらの番だ」

恭弥が大柴との距離を詰める。

大柴はたじろぎながら、話し合いを持ちかけてきた。

「ミーが悪かった、アイムソーリー」

ザッ、ザッ、ザッと、恭弥の足音が近づく。

「共同制作もポジティブにシンキングするよ。製作費もトゥギャザーする」

大柴の前まで歩み寄った恭弥は、厳しい表情で言い放つ。

「前に言ったよな、今度会ったらちゃんとした日本語使えって」

恭弥はまず、左の平手打ちを見舞った。

頬を腫らして泣き叫ぶ大柴の胸ぐらを掴み、尋ねる。

「オマエ、こういうことすんの、初めてじゃねえだろ」

「初めてだ」

バシッ!

口の聞き方がなってないと、恭弥はまた平手打ちを食らわせた。

倒れた大柴に、もう一度同じことを聞く。

「おっしゃる通りです」

「なら、殴られて当然だよな」

バシッ、バシッ、バシッ、バシッ、バシッ…

ひたすらに左の平手打ちを繰り返したため、大柴の右頬は、見るも無惨に腫れ上がっていた。

なんとか許しを乞う大柴だが、恭弥は聞く耳を持たない。

「オレに復讐したっていいんだぜ」

大柴は恭弥の足元にすがりつき、許しを乞い続ける。

「さっきオレを殺せと命じてたよな? なのにビンタくらいでチャラにしろとは、虫がいいとは思わねえのか?」

大柴の胸ぐらを左手で掴んで立たせると、右の手のひらで強烈なビンタを食らわせた。

目についた薫を見ると、「お前もいたっけな」と言ってから、ミシェルたちを振り返った。

「オマエらに枕営業させようとした女だ。好きにしろ」

コメント

error: Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました