第27話

「もう1つ残ってる」と言いつつ、左腕を上げて打ち下ろそうとする恭弥。

その時、スミセンはいきなり叫び声を上げて、バタバタと首を激しく振り始めた。

さらにスミセンは、自分で頭部を持ち上げ、床にガンガンと後頭部をぶつけるのだった。

恭弥はすっと立ち上がり、右の脇腹を抑えて入り口へ向かった。

降りているシャッターを叩き、五十嵐を呼ぶ。

五十嵐とともに、ぞろぞろと数名の男たちが入ってきた。

男たちはその手に、鉄の棒のような武器を持っている。

恭弥はまず、須賀から助けるように命じ、そのあと五十嵐から鉄の棒を借りた。

ソファで呼吸を乱しているギャングたちを見下ろし、トドメをささねえとな、と言いつつ鉄の棒を振り下ろす。

ギャングたちの両膝を叩いたのだ。

次に恭弥は、床に落ちていた割れたビール瓶を手に取り、スミセンの元に戻った。

馬乗りになると、病院には連れて行くが、オマエが一番好きなことは金輪際できないようにしてやる、と言い放つ。

両目、両鼻から血を流すスミセンは、シャフランのせいにしようとした。

恭弥は「もう遅い」と言って瓶を振り上げるが、スミセンは助かろうとしてか、シャフランの陰謀を話し始めた。

なんでも、シャフランは、西モータースを利用して、ダイヤモンドや麻薬を密輸しようとしているらしい。

西モータースが購入した車に乗せて運び、引き渡す前に麻薬を回収する計画だそうだ。

フランス語で辿々しい口調だったためか、恭弥は完全には聞き取れなかった。

それでも間違いないのは、父が危ない、ということだ。

恭弥は瓶を振り上げ、スミセンの右肩に振り下ろした。

しかし、割れたビール瓶では、スミセンの頑丈な体にはあまり通用しなかった。

そこで恭弥は、ナタのような武器を手にした五十嵐の部下を見て、それを借りる。

その武器は、ギャングが所持していたものだ。

恭弥はスミセンの左肩と右肩に武器を振り下ろした。

ダエルの分は左、オレの分は右、と言いながら。

立ち上がると、スミセンも病院に運ぶよう、近くにいた男に命じた。

五十嵐は、そいつらより恭弥が病院に行くよう忠告してくれた。

前にも世話になった若い医者に、ダエルの容体を聞く。

経過を見る必要がある、との答えを聞いて、命を落としてはいないことにホッとする恭弥。

レントゲンを撮った後、看護婦から手当てを受ける間、院長の名を聞いた。

そこに院長がやってきて、自ら「氷室仁」と名乗ってくれた。

院長は、例の若い医者だった。

院長は看護婦に、手当ては私がすると言って、恭弥と2人きりになる。

こんなに早く来るとは、と呆れ顔の医者に、恭弥も同意する。

レントゲンの結果、左のアバラに3本、ヒビが入っているという。

骨の欠片が内臓を傷つける可能性もあるからと、すぐに入院することを勧めてきた氷室に、恭弥は「今は困ります」と言って拒否した。

「死ぬかもしれない」と言われても、「そのときは内臓を売ってください」と真顔で返す。

理由を聞かれた恭弥は、家族や仲間が危険になるから、と説明した。

氷室はため息をつき、鎮痛剤と頑丈なプロテクターを用意するから、絶対に外さないようにと言ってきた。

これは命令ですよ、と付け加えて。

プロテクターを装着して廊下に出た恭弥の元に、五十嵐が走り寄ってきた。

ダエルの病室を聞き、すぐに向かう。

首を固定されて眠っているダエルに、恭弥は呟く。

「やられそうと感じたら逃げろよな、ありがとよ」

表情を引き締め、「休んでろ、オレが決着つけてきてやる」

引用:ピッコマ

コメント

error: Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました