第28話

ダエルにお礼を言い、病室を出た恭弥は、廊下を歩いて移動した。

向かった先は、スミセンとギャング3人がいる病室だ。

その病室の前には、2人の見張りがいたが、恭弥を見るなりさっと頭を下げた。

恭弥が病室に踏み込むと、顔や胸に包帯を巻いている男がフランス語でイチャモンをつけてきた。

「さっきは油断したが、ここまで大ごとになったんだ。オマエも家族も無事ではいられんからな」

「オレを脅してるつもりか」と恭弥。

男は左手で拳銃の形を作り、自分の頭をバーンとやる仕草を見せた。

その姿を見た恭弥は、相手の闘争心がまだ残っていると判断し、確実にへし折ってやると心で呟いた。

廊下にいた2人の暴力団を呼びつけ、さっきの持ってこい、と命じる。

そんなやりとりの間にも、ギャングは恭弥に向けて、左手の中指を立てていた。

暴力団がナタのような武器を持ってくると、受け取った恭弥は2人に「出てろ」と命じた。

院長には悪いが、みんなの安全のため…心で呟く。

ベッドで横になるギャングの前で、武器を鞘から取り出した。

「そんなに心配するな、殺しやしない。殺しはな」

ギャングは恐怖の表情を作りながら、「家族が皆殺しにされてもいいんだな?」と、あくまでも脅すことをやめない。

しかし恭弥が武器を振り上げると同時に、「あああああ」と言葉にならない声を上げた。

「オレたちはビジネスのために来た外国人だ! こんなことして…」

「大使館で言うんだな」と、恭弥は目を鋭くする。

そして、ドスッ、バキッ、ドスッ!

さらに恭弥は、向かいのベッドに寝そべる男に近づいてゆく。

男は恐怖に顔を歪めながら、「来るな、やめろ」を連発していた。

そしてまた、ドスッ、バキッ、ドスッ!

その様子を、廊下から覗こうとしている暴力団の2人。

その間も、恭弥は3人目のギャングに、ドスッ、バキッ、ドスッ!

扉が開き、武器を手にした恭弥が2人の前に現れた。

恭弥の表情を見て、ビクッとなる2人。

「3人は別の病室に移動させろ」

暴力団の手によって、ベッドごと移動する3人のギャング。

部屋の中に残った恭弥は、スミセンに目を向けた。

目を包帯で覆っているスミセンは、気配を感じてビクッとなる。

「オレはたっぷりと報いを受けた。殺さないって言ったよな」

「殺さねえよ」と恭弥は近づく。「ただこれからもオマエがのうのうと生きてくと思うと胸糞悪くてな」

スミセンは必死にシャフランのせいにする。

戦場でシャフランがどんな行動を取っていたか、早口で説明したのだ。

味方が全員戦死したと思ったシャフランが救助隊を率いてきた。

オレはそのときまで生きていたに過ぎない、と。

「ならなんでヤツの側についた? アイツの裏切りを知らせるべきだったんじゃないのか?」

スミセンは、シャフランはダイヤの代わりに味方を売った、と言う。

ギャングに囲まれ腹に穴が開いていたオレにはどうしようもなかった、と。

しかし恭弥は、それでも追求する。

スミセンは戦場の病院についてからも、シャフランの裏切りについて黙っていた。

シャフランにへつらっていた証拠だ。

スミセンの左膝にドスッとやりながら、日本にはシャフラン以外に何人が来ているのか、と聞く。

「2人だ」と、スミセン。

武器をグリッと回しながら、恭弥は武器についても聞いた。

スミセンは拳銃名を叫んだ。

武器を抜いた恭弥は、銃が持ち込まれているのを知って、考え込んだ。

そして最後に、スミセンのもう片方の膝をバキッ!

武器を床に投げ捨て、シャフランが嗅ぎつける前にケリをつけようと動き出す。

と、病室の扉が開いて、氷室院長が姿を見せた。

氷室院長は怒りの表情で、病院内で恭弥がしでかしたことについて糾弾してきた。

しかし恭弥は冷静に、連中を放っておいたら、回復すると同時に病院内の全員を殺して逃げたでしょう、と述べると、医者は一瞬黙り込んだ。

「約束は守ってます」と恭弥は続けた。「でも先生がもう来るなというなら、もう二度と姿を見せません」

氷室院長は、これからの恭弥の行動を聞いてから、医療保険未加入のおいしい患者を失うわけにはいかない、と不適な笑みを見せた。

廊下に出た恭弥は、これからの行動を考えた。

高校生の体じゃ、運転はできない。

タクシーやバスじゃ、機動力がなさすぎる。

神代の助けは借りたくない。

シャフランはスミセンと違って単純じゃないため、すでに何か勘付いて疑っているはず。

武器もなく、体もボロボロの状態で、どう戦えばいい?

何ひとつ有利な点が見当たらない。

しかし、ふと思った。

スミセンにギャングが3人もついていたのは、護衛のためとは思えない。

スミセンは強いからだ。

もしかしたら、護衛じゃなくて、スミセンが何かもらさぬよう、監視させていた?

それならむしろ、追い詰められているのはオレじゃなく、シャフランだ!

引用:ピッコマ

コメント

error: Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました