第30話

ネクサスホテルとの電話を終えた恭弥は、また暴力団に命じて今度は五十嵐に電話をかけさせた。

出た瞬間、「何の用だ?」と第一声を放った五十嵐だが、恭弥が「西だ」と伝えると、「兄貴」と、かしこまった言葉遣いになった。

恭弥はホテルの専務である五十嵐に、シャフランの動きを詳しく報告するよう伝える。

すると五十嵐は、シャフランはスミセンを探していたから、(スミセンは)クラブに来てからすぐ出て行ったと伝えた、と報告してくれた。

さらに、シャフランは今、レストランで日本人と会っている、とも。

相手の日本人は、西モータースの役員らしい。

それを聞いた恭弥は、何か怪しいと思う。

恭弥は次に、すでに再オープンしたというクラブに、スマホが落ちてなかったか、と尋ねた。

その報告はないが、探してみます、と五十嵐。

最後に恭弥は、シャフランの客室に入れるかを聞いたが、五十嵐はさすがにそれは無理だと言う。

神代でも難しい、と。

通話を切った恭弥は、スミセンの発言について考えた。

スミセンは恭弥の恐ろしさを知っているのだから、嘘はついていないだろう、と。
「ゴッド オブ ブラックフィールド」と耳打ちされたシャフランは、一瞬唇を噛んだが、すぐに柔和な表情に戻った。

西モータースの役員に、本社から急用が入ったと伝え、席を立つシャフラン。

シャフランが客室に戻る様子を、五十嵐の部下が見ていて、それを電話で五十嵐に伝えた。

シャフランが客室に戻ったこと、恭弥のスマホはクラブには落ちてなかったことを、五十嵐がスマホで伝えてきた。

一服できないことを残念に思いながら、恭弥はシャフランの客室に電話してみた。

シャフランが出たため、西恭弥だと名乗った。

シャフランはすでに、恭弥がスミセンから何か聞いたと思っていて、「調子に乗るな」と脅してきた。

そして、スミセンの居場所と引き換えに、西モータースに独占権をやる、と。

どうやらシャフランは、スミセンが裏切ったと考えているようだ。

このまま話を合わせることにする恭弥。

「西モータースはこれ以上、契約金を支払うつもりはない」と言うと、

「50台分の契約金で事業開始を約束する」と言ってきた。

「口約束じゃダメだ。文書に記せ」

この言葉に、シャフランはカチンとくる。

「アンタを信用できないもんでね」と恭弥。

とにかくスミセンを取り戻したいシャフランは、この事業には大きな組織が関わっていることを匂わせ、スミセンの居場所を追求してきた。

「知るかよ」と恭弥はつっぱねる。

契約したらスミセンを引き渡す保証は? と聞いてきたシャフランに、

「惜しいのはそっちだろ。スイスバンクに大金があるしな?」

シャフランは、専決権は俺にあるが、契約の公証から発表までには時間がかかる、と言う。

「なら仲良く共倒れするか?」

あくまでも優位に話を進めようとする恭弥に、シャフランは怒りの表情を浮かべる。

「オマエは俺の知ってる西恭弥そっくりだ」

スミセンと一緒かを聞かれた恭弥は、話をはぐらかしながら、「スイスバンク、ブラックヘッド、麻薬」と言う言葉で、

スミセンから情報を得ていることを匂わせた。

ついにシャフランが折れ、契約締結すると言ってきた。

ここで恭弥は、ふと思う。

もし父さんが狙われたら、母さんも危ない…

とにかく締結の話には乗り、電話を切った。

シャフランのほうは、通話を終えるや否や、受話器を叩きつけて怒りをあらわにした。

怖いもの知らずなところが、あの男を思い出させる、と思いながら。

一方の恭弥は、シャフランとスミセンとの違いを考え、手強い相手になることを予感していた。

引用:ピッコマ

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