早老症と聞いて、深刻な表情を浮かべる恭弥。
「そんなに深刻にとらえないでください」と氷室院長が言った。
氷室は検体の採取として、恭弥が怪我した右腕から少々の皮膚(血)を抜き取った。
「結果は1ヶ月後になります」
そう言い残し、氷室は部屋を出た。
ダエルが心配そうな顔をしているのを見て、恭弥は開き直って話し出す。
「オマエが心配しても何も変わんねえよ。それよりパンでも買ってきてくれ」
ダエルはむすっとしながらも、買い物に出た。
1人になった恭弥は、ヨボヨボになった自分を思い浮かべてゾッとする。
気を紛らわそうと、テレビのリモコンに手を伸ばした時、スマホが鳴った。
ミシェルからだ。
ドラマの話から入り、順調との報告を受ける。
「ドラマのことで心配かけないように、電話するのを我慢してたの。でも声が聞きたくなってね」
「会社の雰囲気はどうだ?」
「すごくいいわよ」
「そうか。近いうちに寄るよ」
この言葉を聞いたミシェルは、ヤッタ、とガッツポーズした。
通話を終えたタイミングで、ダエルが戻った。
ダエルは、恭弥の出席日数について話をする。
学校にいくなら制服が必要だけど、家に帰ったら怪我がバレてしまう。
ダエルの案で、運動部の誰かから借りよう、という方向で話はまとまった。
「鬼塚か姫野に連絡してみてください」
「ダメだ。あいつらじゃ、頼みじゃなくて命令になっちまう。根本か門倉だな」
ってことで、根本に連絡したところ、病院まで持ってきてくれるという。
通話を終えると、ダエルも帰宅した。
妻の実家に行く予定があるそうだ。
やってきた根元は、汗だくで何やら慌てた様子だった。
「馬場くんが、連れて行かれました」
なんでも根本は、途中まで馬場と一緒に病院に向かっていたそうだが、バス停の前にいた怖い連中に連れて行かれたそう。
「スポーツ刈りで、ジャージを着てました」
恭弥には心当たりがあったため、根元の電話で姫野に連絡させた。
通話がつながり、電話を受け取った恭弥は、単刀直入に尋ねる。
「馬場が大学生らに連れてかれた。連中が行きそうな場所、わかるか?」
連れて行かれた場所が仁道病院だと伝えると、姫野は予想を口にする。
「病院の向かいに、銀行があるわ。その裏の空き地に連れてかれたと思う」
目的地がわかり、恭弥はさっそく動き出す。
根本には、「危ないからここにいろ」と伝えたが、根本は聞かずについてきた。
歩きながらも、ゴルフ場で怪我した箇所に痛みを感じる恭弥。
コンディションは最悪だな…
相手が大学生のガキでよかった
人気のない路地裏で、うずくまる馬場を囲む大学生たち。
その数は15人。
先頭に立つ男は、ニヤニヤと険悪な笑みを浮かべながら、また一つ馬場に蹴りを入れた。
荒い呼吸をする馬場の前に、恭弥が姿を見せた。
「大学生にもなって、しょうもねえ」
恭弥は怒りをみなぎらせ、相手を睨むのだった。

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