スケールの小さな問題に巻き込まれることに、ちょっと表情を引きつらせる恭弥。
とりあえず、不良女子たちの言い分を聞く。
女子が言うには、トロントスクエアで恭弥が割って入ったことは気まぐれで、指を折られた相手は運が悪かったに過ぎない。
そのせいで、不良たちは外も出歩きにくい。
2年生なんかは、週に一回呼び出されては逃げているそうだ。
「それなら姫野と鬼塚は、やられると分かってるのに何で毎回行くんだ?」と恭弥。
「そうしないと、もっと酷い目にあうから」
不良女子が言うには、恭弥が集会に出向いて、手を出すなと言って欲しいとのこと。
恭弥は表情を引き締めて、こういった。
「断る」
恭弥の言い分はこうだ。
不良たちは今まで弱い者をいじめてきたのに、なぜやられる立場になった今になってそんなことを頼める?
「オマエらがいじめてきたヤツらにしたこと、忘れたのか? 今までの罪に対する罰だと思って反省するんだな」
不良女子たちは、それでも頼んでくる。
「あのとき、トロントスクエアで終わらせることになってたの。そこにあんたが現れたから…」
「オレのせいだってのか? ならなんでオレにかかってこねえ? 勝てねえからか?」
恭弥が声を張り上げると、女子たちは俯き、なおも頼んできた。
もういじめもしないから、と。
恭弥は揺るがない。
「オレが一言いえば、どうせ手を出せないだろう」
女子たちは、恭弥が学校にいる今はそうでも、来年は違うと言う。
来年以降もいじめをなくすからと、恭弥になんとか頼み込むのだった。
恭弥は、来年以降に学校がどうなるかを想像した。
自分が卒業すれば、またいじめは蔓延する。
運動部の連中は自分の身を守れるようになったが、不良たちはまた別のターゲットを見つけるだろう。
恭弥はため息をついて、集会の場所を聞いた。
「車で20分くらいで着くわ」
遠くない場所に連れ出すのは、罠にハメるときの常套手段だ。
と気づきながら、恭弥はその集会に行くことにした。
30分後だ。
運動部の部室で、サンドイッチを食べながらダエルと話す恭弥。
これから集会に出向く話だ。
来年以降もいじめをなくすという不良たちの言い分を、恭弥は信じちゃいなかった。
「なら無視すりゃいいじゃないすか」とダエル。
「この学校じゃ大人しくしてても、外じゃ何するか分かったもんじゃねえっすよ」
「まあ、約束しちまったからな」と恭弥。
タクシーを用意していた不良たち。
到着した場所は、工事中のビルだった。
不良たちと一緒に階段を登っていくと、集会が行われている場所に出た。
俯く学校の不良たち(いじめられる側)。
鉄パイプや金属バットを持つ男たち(いじめる側)。
そして姫野と鬼塚は、地面に膝をついて俯いていた。
その顔にはアザが浮かび、シャツも血で汚れていた。
そこへ、恭弥登場。
「2人とも、立て。学校の連中は全員帰れ」
相手のリーダーらしき男が出てきて、恭弥の前に立った。
タメ口をきく恭弥に、自分のほうが2つ年上だといって脅しつけてきた。
まだ帰らない不良たちを見て、恭弥はさっさと帰るように伝える。
しかし姫野と鬼塚が、帰れない理由を話し出した。
この建物は、その先輩(リーダー)の父親のものらしい。
新田組のボスで、周囲で待ち構えてる可能性もあるから、出られないという。
恭弥は、さっき学校で話した不良女子たちに問い止めた。
「オマエたち、わざと俺をここに連れてきたってことか?」
「自業自得よ」と不良女子。
「いじめをなくすって話も嘘か?」
「当然」
恭弥は改めて、リーダーの男に目を戻した。
「こいつのほうが、(トロントスクエアで)指を折ったやつより上なんだな?」
「ああ」と鬼塚。
でも、さらに上のリーダーがいるという。
姫野は、鋭い目で恭弥にお願いしてきた。
「あたしらがいじめをなくしたら、最後まで守ってくれる?」
恭弥は、姫野の度胸を心の中で認めつつ、「そうだと言ったら?」と答えた。
姫野はもう1つ、約束を取り付けてきた。
「あの3人(不良女子たち)は、あたしの好きにしていいと約束して」
「好きにしろ」
姫野はいかつい表情を浮かべ、「死ぬまであんたを信じるわ」と口にした。
恭弥はリーダーに、忙しいんだからさっさと暴力団を出せ、と促した。
リーダーの声によって、レスターみたいにガタイのいい男たちが姿を表した。
その数、6名。
「殺してもかまわねえんだよな?」と口にする男たち。
恭弥は不思議に思った。
山本組をぶっ潰した噂は、連中の耳にも届いているはず。
なのに、この数か?
オレってなめられてんのか?

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