恭弥からの頼みを受けた原田は、黒川に意見を求めた。
黒川は持論を述べる。
「ゴルフ場は警護が難しいですが、ここは(安全な)日本なので、警護レベルを上げれば問題ないかと」
原田はうなずき、また連絡をくれると言ってくれた。
車で移動しながら、ここまで順調であることを喜ぶ恭弥と黒川。
助手席に乗った恭弥は、スマホで京極に連絡を入れた。
黒川の昇進がほぼ間違いなさそうだと伝え、その理由も話す。
「ラノックが、鉄道を繋ぐと言ってくれました」
京極も喜び、お祝いすることになった。
須賀先生(ダエル)も呼ぶから、これから銀座で待ち合わせて飲もう、と。
待ち合わせの場所は、黒川や京極が常連にしている高級クラブとのこと。
貸切にしてくれて、外部に漏れることもない、そんなお店だ。
高級クラブに到着した、恭弥たち4人。
出迎えてくれたのは、40代と思われる美しい女性だった。
案内された部屋で、食事を囲む。
京極と黒川が並び、恭弥と須賀先生が並んで座っている。
京極と黒川は、スパイがどの国の男なのかを話し合った。
「東北アジア人なのは間違いあるまい」と黒川。
すると須賀先生が、「最強のフランス傭兵部隊隊長もそうでしたよ」と口を挟んだ。
おそらく恭弥のことを言っているのだ。
「どうしてそのようなことを、須賀先生が?」
黒川のもっともな質問を受け、須賀先生はたじたじになる。
隣にいる恭弥は、カリカリして須賀先生を睨んだ。
飲まないでいる恭弥に、京極が酒を勧めるが、ここでも須賀先生が割って入った。
「コイツはまだ未成年すよ。飲酒なんてダメっす」
「テトリスとやスパイを始末したってのに、飲まないと? 変なとこで道徳的だな」と京極。
「お二人が許しても、教師のオレは許しません」
なおさらカリカリする恭弥を見て、楽しそうな須賀先生。
そんな2人の関係性を見て、京極は気になったことを口にする。
生徒が先生にタメ口で、先生が生徒に敬語を使っているのはなぜか、と。
「それには事情があって」と恭弥。
話せないことじゃないんですが、信じてもらえないでしょうし、と付け加えた。
京極はさらに、4人の言葉使いにも触れた。
・京極→恭弥&黒川:タメ口
・京極↔︎須賀:敬語
・恭弥→京極:敬語
・黒川→恭弥&須賀:敬語
「おかしいと思わないか?」
「なら敬語に関しては、年齢を基準にしましょうか?」
恭弥の提案に、黒川と須賀先生が反対した。
いまさらやりにくくなるから、と。
結局その話は流れ、とりあえず乾杯することになった。
妻子持ちだからと、その日のうちに黒川の車で帰った須賀先生。
いっぽう恭弥は、すぐ近くにあるネクサスホテルに泊まることにした。
すでに家族には連絡してあるから、と。
翌朝。
松田からモーニングコールがあった。
「神代の兄貴が、朝食を一緒に食べないかと申されてます」
服も用意してあるそうで、恭弥は出向くことにした。
というわけで、レストランでテーブルを挟む恭弥と神代。
立派なスーツを用意してくれた神代に、ちょっと突っかかる恭弥。
「ありがてえが、もうやめろよ。オレは堅苦しい服が好きじゃねえんだ」
ワイングラスを手に持ちながら、神代から話を切り出す。
神代は、恭弥がフランス大使と会っている、という噂もすでに聞きつけていた。
「それより西」と言いながら、神代は表情を厳しくした。
「後藤組の件、お前がやったと言ってたよな?」

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