暗い部屋の中、ウイスキーのグラスを持った何者かが呟いていた。
「そろそろ始めるとするか。楽しみに待ってろよ」
しばらく平穏な日々が流れ、夏休みを迎えた。
運動部が部室に集まって、食事を楽しんでいた。
2年生は校外学習を明日に控え、ダエル(須賀先生)がちょっとした忠告をする。
夜中に騒いだり抜け出したりしないように、と。
「もしオレに見つかりでもしたら」と言いながら、ダエルは自分の首を手で切る仕草を見せた。
すると根本が、せっかくクラスのみんなと仲良くなれたのに、またイジメられたら…と不満を漏らした。
「そのときは西に言えばいい」とダエル。
隣に座る恭弥は、ダエルにしか聞こえないように、「なんでオレなんだ?」と伝えた。
ダエルは笑ってごまかしてる。
すると根本が恭弥に、「夏休みなんだから先輩も校外学習に行きませんか?」と誘ってきた。
「なんでオレが?」と、素っ気なく返す恭弥。「オレが参加すれば、みんなオレの顔色うかがって楽しめねえだろ」
「そんなことないです。先輩すごく人気あるんですから」と根本。
「嘘つけよ」と恭弥が言うと、「ホントなのに」と根本は呟いた。
食事が終わると、部員たちが帰りの支度をし始め、恭弥とダエルは2人で話し出した。
夏休みや校外学習に参加できる人生を喜んでいたダエルに、恭弥は言う。
「シャフランさえいなければもっと良かったけどな」
ダエルは懐から車のキーを取り出し、それを恭弥に渡そうとした。
卒業するまでは運転しないと言って、受け取らない恭弥。
ダエルから「いつどこで何が起こるかわからないから、もらっておいてください」と言われても、まだ受け取らない。
「事故起こすと思ってビビってんすか?」と言われて、ようやく受け取るのだった。
校外学習を楽しんでこい、と恭弥から言うと、ダエルは表情を曇らせて、「なんか不吉な予感がするんすよね」と不安な表情を浮かべた。
朝9時半まで寝ていた恭弥は、「昔のオレじゃ(こんなに寝るなんて)ありえねえな」と呟きながらスマホを確認した。
「須賀か」と自然に須賀と言ってしまったことに、自分でもちょっと驚く。
ダエルからは、ただ出発するという知らせだった。
根元からは、気が変わったら来てください、と送られていた。
部屋を出て、ちょっとトレーニングしに学校に行こうとすると、母が漢方のスープを差し出してきた。
マンション前の漢方店で買ったから飲んでみて、と。
恭弥はそれを飲むと、母さんの分はないのかと尋ねた。
「恭弥の顔を見るだけで十分」と母。
家を出た恭弥は、白井美紅からの電話を受けた。
これから学校でトレーニングすると伝えると同時に、母が言っていた漢方のお店にたどり着いた。
部室でベンチプレスする恭弥。
かなり鍛えてきたが、まだ元の体ほどじゃない、と思いながら。
少し休んで水分補給すると、美紅が現れた。
トレーニングしにきたのか、と思った恭弥は、自分が使ってない器具を使ってやるように伝えた。
「トレーニングしにきたんじゃないよ、女心がわかってないんだから」
ただ遊びに来た、という美紅は、もうすぐ塾が2日間休みになる、と続けた。
そのうち1日は家族旅行に行くけど、もう1日は私と一緒に遊んでくれない?、とも。
トレーニングする恭弥はすぐに返事をしなかった。
返事を待つ美紅は、ちょっと頬を赤らめてる。
トレーニングがひと段落すると、恭弥は「わかった」とOKした。
「ホント?」と言う美紅は、嬉しそうに両手を頬にあてがって喜ぶ。
恭弥は心の中で、「ったく、こいつをどうしたもんかな」と思っていた。
帰宅した恭弥は、母に漢方薬をプレゼントした。
「お金は?」と聞かれ、「通訳で得たお金で」と答える。
部屋に戻って、今日は充実した1日だった、と満足感に浸っていると、いきなり心臓の鼓動が高鳴り出した。
ドクン、ドクン、ドクン•••
身に覚えのある感覚だが、高校生の体になってからは初めてだった。
戦場でしか感じたことがない感覚だ。
危険が迫っていると、体が教えてくれているのだ。
と、そのときスマホが振動した。
引用:ピッコマ

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