車の中で、スマホで連絡を取る恭弥。
相手は、父の護衛人だ。
「父さんには言わなくていい。様子を見に行くだけだ」
具体的な目的地も聞いて、状況も把握した。
父は今、会社の人たちと食事中らしい。
ダエルはその店を知っているらしく、急いで向かう。
店に到着すると、護衛人の一人が近づいてきた。
恭弥は窓を開けて、状況を尋ねる。
護衛は3人、とくに変わったこともなく、食事中のメンバーも身元は取れている、とのこと。
「食事はしたのか?」
「はい、簡単に」
「オレらも来たし、ちゃんと食ってこい」
恭弥の父が、店を出てきた。
車から見ている恭弥とダエルは、とりあえず安心する。
「今回はリーダーの直感が外れたみたいっすね」
「だな」
「でもちょっと、残念でもあるっす。今まで一度も外してなかったのに、記録が台無しっていうか」
「記録なんかのために、事件が起こったほうがよかったってのか?」
「そんなんじゃないっすけど」
気楽な会話をしていると、恭弥は斜め後ろの車に違和感が起こったことに気づく。
コンビニに停まっている黒いワゴン車だ。
ずっとそこにあり、乗り降りもなかったのに、いきなりライトがついたのだ。
父が出てきてまもなくの出来事だけに、怪しさしかない。
「臭うっすね、見てきましょうか?」とダエル。
「オレが行く」
恭弥は車を出て、さりげなく歩き出した。
フードを被り、黒いワゴン車を横切って、コンビニへ。
黒いワゴン車はスモークガラスのため、中は把握できない。
何かを隠している雰囲気がある。
店の中で、缶コーヒーを2つ手に取り、会計に並んだ。
スマホがなり、出ると、ダエルから緊急の声が。
「戻ってください。親父さんの車が出たっす」
缶コーヒーをレジに置いて店を出ると、黒いワゴン車もちょうど出発するところだった。
何かある、と直感し、急いで車に戻った。
助手席に飛び込み、ダエルから状況を聞く。
「親父さんの車が出てすぐ、UBコップの車が続いたんすけど」
「あのワゴンもついてったんだな」
ダエルが車を出すと、ちょうど一般人の車が前にきて、お互いに停まった。
「どいてくれ」とダエルが叫ぶ間にも、恭弥はスマホで連絡を入れる。
「父さんはどこに向かってる?」
「東京に向かってますので、ご自宅かと。あと10分ほどで高速に入ります」
「怪しいワゴンに追われてる。父さんの車に近づけるな」
再びダエルがアクセルを踏み、発進した。
恭弥は表情を引き締め、心の中で叫んだ。
オレが行くまで、無事でいてくれ!

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