食事で大金を振る舞おうとしている恭弥に、ミシェルからフランス語で忠告が入る。
「これはデートじゃなくてビジネスなのよ」
目の前に座った西野室長が、2人のやりとりを見て口を挟んできた。
ミシェルは笑ってごまかしたが、恭弥への心配は止まらない。
そこで、外に出て2人で話すことを提案してきた。
エントランスの階段に出た恭弥とミシェル。
ミシェルは厳しい表情で、「いい加減にして」と声を張り上げた。
「その金銭感覚、どうにかして。運営費に3千万…もし私がそのお金を持って逃げたらどうするの?」
「逃げねえよな?」あっけらかんと答える恭弥。
ミシェルは頭を抱え、ため息をつくばかり。
「ドラマの制作費には10億はかかるって、知ってるの?」
「そうなのか?」恭弥はやはり、すまし顔。
「オレが知るわけねえだろ。それで、いくら回収できるんだ?」
ドラマはヒットすれば莫大なお金が入るが、失敗すれば投資したお金は全てパーになる。
とミシェルから聞いて、さすがの恭弥も表情を引きつらせた。
スタッフや配役の問題もあるし、いろいろと面倒そうだ。
「それはともかく、椎名愛子は売れそうなのか?」
「愛子は薫のオマケみたいなものよ」とミシェル。
ちょっと腑に落ちない恭弥は、むずかしい表情を浮かべた。
ミシェルはいきなり話を逸らしてくる。
「それはさておき、さっきケンカしてた恭弥、すごくセクシーだったわ」
擦り寄ってきたミシェルをかわすため、恭弥はさっさと店に戻って行った。
店に戻ると、席にはすでにゴージャスな料理が並んでいた。
さすがに5万円もするだけある。
ミシェルから、練習生にかかるお金の話を聞いたあと、レジでお会計のときがやってきた。
しかし店員いわく、なぜかカードが使えないらしい。
薫は嫌がらせで、「お金持ちって見栄はりたかったのかしら?」と言い残していった。
残高があっても、一回の利用限度額を超えてるのかも、とミシェル。
2回に分けて精算すると、ちゃんとカードは使えた。
ほっとする、恭弥とミシェル。
エレベーターに乗った事務所スタッフや練習生たち。
でもミシェルが、「私たちには話があるの」と言って、スタッフたちを先に行かせた。
2人だけ残った恭弥とミシェルは、別のエレベーターに乗った。
恭弥はミシェルに、会社の運営をすべて任せると改めて伝えた。
ドラマの制作以外は口出ししない、と。
ミシェルは、そんなに信頼してもらえる理由はなんなの、と問いかけてくる。
「もしかして」と言いながら、腕を絡めてくるミシェル。
さらに胸を押し付けてきた。
そこで恭弥のスマホがなった。
スミセンからの連絡だ。
ナイスタイミング、と思いながら通話する恭弥。
車の発注の話をし、通話を終えたあと、ふたたびミシェルが絡んできた。
今度は首に腕を回し、「今から何する?」と。
何もしねえよ、と思う恭弥。
「5時から大事な約束があるんだ」
「5時までは時間あるのよね?」
ミシェルはさらに、脚まで絡めてきた。
瞬間、エレベーターの扉が開いて、お客さんたちの注目の的になってしまう。
さすがのミシェルも離れて、そのままエントランスに出た。
用事がある恭弥に、まだ一緒にいたいミシェル。
「これからいくらでも会うだろ」と言って、どうにか別れた。
帰り際に、軽く頬にキスだけくれて。
ラノックとの待ち合わせの前に、少し部屋で眠ろうと考えた恭弥。
エレベーターに向かって閉じるボタンを押すと、ある男がやや強引に扉を開いて入ってきた。
背後に立ったその男に対し、恭弥は危険を感じる。
コイツ、人を殺したことがある!
それも、数えきれないほど多く!

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