第81話

山本組を潰した噂は、連中の耳にも届いてるはず。

なのに出てきた人数が少なめだったもんだから、なめられてると感じる恭弥。

さっそく1人が、バットを全力で振り下ろしてきた。

「死ねぇ」と叫びながら。

さっそバックステップで避けた恭弥は、遅い、と感じていた。

次の相手のパンチも、左腕で軽く避ける。

弱い、と感じながら。

さらにもう一つのパンチも避け、つまらない、と思う。

首斬り屋との対戦を控えているだけに、準備運動にもならねえ、と。

殺さない程度に痛めつけてやる、と思いつつ、1人に対して一撃ずつで倒してゆく。

最後に残ったスキンヘッドは、恭弥を捕まえようと手を伸ばしてきた。

恭弥は、サッカーのようにスキンヘッドの足を蹴る。

相手は前のめりになってよろけ、両手をついて四つん這いの格好になった。

そこへ、恭弥の膝蹴りがヒット!

あっというまに7人を倒した恭弥は、リーダーを睨む。

「来るな」と叫ぶリーダー。

「俺に命令すんじゃねえ」

恭弥はそう言いながら、ツカツカと歩み寄り、正面から頭突きを見舞った。

倒れたリーダーの左腕を取ると、「このまま帰したら、学習しねえよな」と言って、ボキッ!

残っている連中に目を向け、「次!」と鋭い眼光で睨む。

しかし、誰もかかっては来なかった。

「また集まってたら、腕へし折るからな。見逃してやるのはこれが最後だ」

そして恭弥は、鬼塚たちに声をかけて、その場を後にした。

「飯食いに行くぞ」と。

トンカツ亭で食事する、恭弥たち。

恭弥は姫野に対し、運動部で体を鍛えることを提案した。

「学校でイジメが起きたら、タダじゃおかねえ」とも。

姫野はその点について約束し、代わりに例の3人の不良女子は好きにしていいことを確認した。

「好きにしろ」と恭弥。

食べ終わると、恭弥は姫野をバス停まで送った。

ここら辺は連中の縄張りだからと、姫野が頼んできたのだ。

直後、ダエルから電話がきた。

大丈夫かどうか簡単な会話をして、すぐに通話を終えた。

その後、京極からメールが届いているのに気づき、電話をかけた。

京極いわく、劉珉邦の船が水曜日に出港するとのこと。

通常であれば運航許可には3〜5日ほどかかるが、輸出ということで便宜を図ってもらったらしい、と。

となれば、劉珉邦はラノックとは全く無関係に動いている可能性もある。

「特殊部隊は準備を済ませ、疑われそうな奴らは撤退するつもりなのだろう」

「なら、オレたちが狙う相手は…劉の船ですね?」

とりあえず様子を見よう、という京極。

船は横浜港から出る予定で、情報が入ったらまた連絡する、と。

電話を終えると、恭弥は思案した。

抜け目のないシャフランにしては、なんだか変だ。

日本から出られれば、それだけでいいのか?

(オレたちは)何か見落としているのかもしれない…

とりあえず帰って眠ろう、と思い、バスに乗ろうとした矢先。

スマホが鳴って、結局バスには乗らずに会話し始めた。

ラノックからの電話だ。

「シャフランの(電話)番号は、同じ数字だったか?」と聞かれ、

「すべて1でした」と答えた。

ラノックは、新しい情報が2つある、と伝えてきた。

1つは、シャフランの口座が、送金が不可だったこと。

要するに、シャフランはこちらに金を渡すつもりなどなかった、ということだ。

もう1つは、シャフランがフランスの周波数帯を使ってたため、そこから足取りを掴めたとのこと。

シャフランの位置を掴めたのだ!

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